影法師のたわむれ
★前の記事で紹介した「やさしい物理学」の第一章が「影法師のたわむれ」なのです。
影を見ていたら、「そのふちがはっきりしていなくて、ぼやっとぼけています」と始まります。
2012.5.23
線路の柵の影と、私の頭の影です。
地面に近いものの影はくっきりしていて、遠いものの影はぼんやりしている。
で、頭の影を柵の影に近づけます。
ちょっと影が膨らんで、くっつきました。
本では
「ふちのはっきりしないこの二つの影がぶつかるかぶつからぬかしようとした時に、私の頭にこぶができました。・・・頭の影の、ちょうど柱の影にふれた部分が、黒くふくれ上がって、あたかも頭にこぶができて、その影がうつっているようです」
こう書かれています。
最初の章で、まずびっくりして、自分の影を見に行ったのは、もちろんです。
線路の電柱と私の腕の影です。
くっきり度合いが全然違いますね。
高いところの物体の影は、半影が広がってしまうのでぼやけます。
近いところの物体の影は、半影がそう広まっていないのでくっきりです。
となると
細い電線の影では。本影が地面まで届かず、半影だけになって、すごく薄くなります。
★さあ、これで日食の話ができるようになったわけですね。
本では、日食の説明図のキャプションとして
地球上で月の本影の中にある部分からは太陽が全く見えないので皆既日食が見られる。
太陽による月の本影が地球上までとどかない場合、地球上から金環食又は部分日食が見られる
★歩いているアリさんに握りこぶしの影を落として、「皆既日食だぞ」と言ってあげてください。
★影を見たら、こんなことを思い出して下さい。
地上で道に落ちる影と、惑星やその衛星が太陽に照らされて、宇宙空間に落としている影とで、同じ議論ができるということを楽しんでください。地上でも宇宙でも同じ物理法則が適用できるんですね。化学でも同じです。超新星の爆発直後は別として、宇宙を構成する元素は、地球と同じなんです。
この驚き、楽しさが理科の原動力なんですね。
その一端を先日、金環食で味わったわけです。
理科を思いっきり楽しんでください。
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