絞りの効果
ピンホールカメラの話をしたついでに。
★一眼レフカメラは、レンズ交換のためにレンズが外せます。
その時ボディに埃が入らないように、ボディ・キャップというものをはめます。
このボディ・キャップの中心に小さな穴をあけてボディに装着すると
一眼レフカメラが「ピンホールカメラ」に変身します。
ただ、キャップに穴を開けますので、その穴の縁から細かい細工の屑が入ったりしないよう要注意。
穴のあいたキャップは正規には使えないわけですから、新品を入手しておくこと。
くれぐれもご注意ください。
それさえ、ちゃんとできれば一眼レフカメラのピンホールカメラ化は可能です。
★それはあんまり、私としてはやる気がない。
で、古くからのカメラ使用者(50年以上やってますから)として、ひとつ面白い実験をご紹介しましょう。
f2.0 いわゆる開放でぼんやり外を眺めています。
確か2mくらい先にピントを持っていっています。マニュアルフォーカスで。
そのまま、穴をあけたアルミフォイルをレンズにかぶせます。
いかがですか?
パンフォーカス化しちゃいました。
走っている電車まで写ってら。
これも開放。
50cmくらいのところにピントを合わせてある。
穴あきフォイルをかぶせると・・・かなり鮮明ですね。
★ここでやったのは絞りによる被写界深度の変化、です。
以前、望遠マクロを買ったときに書いた記事があります。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-e593.html
2011年2月21日 (月)「被写界深度」
↑ここで詳しく説明してあります。
絞るとなぜ被写界深度が深くなるのかについては、下のサイトにいい図があります。
http://www.kansmemo.com/photo/camera/principles/entry-59.html
「サルでもわかって欲しいカメラ原理講座: #02 絞りとは」
↑タイトルが挑発的ですが、図はしっかりしてます。
★ところでですね。
私たちの眼は、虹彩という絞りがあって、水晶体レンズ1枚のカメラですね。
網膜には倒立実像が写ってますが、脳で処理して、意識としては当然正立させて見ています。
実験方法は詳しく書きませんが、不思議な実験がありましてね。
名刺のような紙に小さな穴を開け、それを目の前、ホントに1cmもないくらいのところに持ってきて、日光で輝く白いカーテンなどを見ます。すると、穴が「点光源」になるんですね。近すぎて穴そのものは見えません。
さて、その目の前の紙の穴と目の間に鉛筆を下から上へそっと視界の中へ入れます。
すると、鉛筆は下から入れたのに、視界の中では上から黒い影が入ってくるように見えるのです。
鉛筆の先端の影が、そのまま網膜に投影されてしまったのですね。
すると脳はそれを反転させて認識しますから、上から入って来たように見える。
実に変な気分ですよ。
脳をだましてますんでね。
目の前で鉛筆の芯を動かすので、危険なので詳しくはご紹介しません。
親兄弟姉妹友人、一切誰もいないところで試してみるのならいい、と指導して高校生にやらせたことがありますが、ものすごく驚いていました。
何やってんの?と肩でも小突かれたら目にけがをしますので、絶対に一人っきりでしかやってはいけない実験なんです。最近は真面目な顔してなにかやってると、すぐちゃかしてしまう風潮なんで、こわいのです。なにマジやってんだよ、なんて小突かれたら失明しかねませんからね。
この写真、7角形になっていますね。
これはカメラ内の「絞りの影」なんです。
オリンパスのE510の絞りは羽が7枚で構成されているのですね。
わかりやすいですね。7角形が写っていれば絞りが写っているのです。
レンズの先端に穴のあいたアルミフォイルをかぶせ、蛍光灯に目いっぱい接近します。カメラとしても、ピンホールカメラとしても、蛍光灯の像は結べないし、フォイルの穴も近すぎて穴の形も写らない。蛍光灯の光が穴を通ることによって「点光源」になるのです。
そうすると、レンズの光学系の影響はあるのですが、絞りの影が撮像素子に映ってしまうんですね。
上の写真は、距離を無限遠にして、絞りは f10です。
念の為、距離を再接近の24cmにして、f13で撮影したものもお目にかけます。
妙な実験でしょ。
カメラは何が写っているのか分かっていません。
カメラを騙しちゃった。
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