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2012年5月 7日 (月)

バス事故

★朝日新聞の読者投稿欄「声」に下のような投稿がありました。

[声]防音壁の設置方法に問題あり(5/2)
 1級建築士(61)
 関越道のバス衝突事故で、警察は運転手とバス会社の責任を追及する方針のようだ。だが私は事故の映像をテレビで見て、思わず「あっ」と叫んでしまった。明らかにガードレールと防音壁の設置方法に欠陥があると思ったからだ。
 リポーターも疑問に思って指さしていたが、テレビ映像で見る限り、ガードレールと防音壁の間に20~30cmほどの隙間があった。しかも、防音壁がガードレールより内側だった。これでは防音壁がないところでガードレールにぶつかり、車体をこすりながらガードレールに沿って走ったバスに、防音壁が引き裂くように食い込むのは当然だ。
 なぜこんな危険な設計をしたのだろう。ガードレールを内側にするか、ガードレールか防音壁を隙間を埋めるように斜めに設置していたら、こんな惨事にはならなかっただろう。全国の高速道路で、このような危険な箇所がないか、すぐに点検を望みたい。

★そうだったのか、とびっくりしました。

車の運転を覚えた頃に、先輩から教わった話。
万一、ブレーキが全く効かなくなってしまったら、ガードレールに車体をすりつけて停止させろ、と。
今回の事故の道路では、この方法は出来ない、やってはならない、ということですね。
すりつけていったら、突然防護壁に「刺さって」しまうんだ。
万一の場合にも、何とか停止することができる、というのはとんでもなく大事なことです。
「安全」という考えが、道路建設に関わる人の中に、浸透しきっていなかったということなのですね。
安全に停止する、ということが至上命題です。

★大昔、40年以上も前かな、新聞のコラムかなんかで読んだ記憶ですが。
確か、ロシアか、あるいはシベリアか。道がカーブしていくところに、直進する補助道路が作ってある。どういうことなのか、道路設計者に聞くと、万一ブレーキもハンドルも利かなくなって直進しかできなくなっても、真っ直ぐ山腹に登って行けば、やがて運動エネルギーを失って停止に至る。そういう安全のためだ、と話していた。という話です。安全という考え方と共に、そのスケールに圧倒された記憶があります。

★今回の事故。日本の道路設計の「甘さ」、「安全」への認識不足が露呈していますね。
この「声」への投書を読んだ夜、NHKの夜7時のニュース。

関越道バス事故 防音壁の間に隙間
5月2日 19時14分
 群馬県の関越自動車道で乗客7人が死亡した事故で、事故の現場は、防音壁とガードレールの間に数センチの隙間があったうえ、防音壁の土台のコンクリートが、ガードレールより僅かに道路側にせり出している場所でした。
 専門家は、ガードレールを防音壁より内側に設置したり、防音壁と一体にしたりしていれば被害を軽減できた可能性があると指摘しています。
 高速道路を走る車が道路の外や対向車線にはみ出すのを防ぐためのガードレールなどの防護柵は、平成10年に設置基準が見直され、今回の事故現場のようにガードレールと防音壁の「つなぎ目」は表面が連続するように設置することとされました。
 今回の事故現場では、例えば手前のガードレールを、それに続く防音壁にかぶせるなどして、ぶつかった車両をスムーズに誘導できるようにする対策が求められます。
 しかし、この設置基準は新しく作られる防護柵が対象で、すでにあったものは対象外とされています。
 事故現場に設けられていた防護柵は、道路が開通した昭和55年に設置されたもので、新しい基準は適用されておらず、東日本高速道路によりますと、防音壁とガードレールの間に数センチの隙間があったうえ、防音壁の土台のコンクリートがガードレールより道路側に僅かにせり出した形になっていました。
 今回の事故で、大型バスは、ガードレールに接触したあと、その先に続く防音壁に突っ込み、車体左側が切り裂かれるように激しく壊れました。
自動車工学が専門で、事故の防止策などを研究している芝浦工業大学の古川修教授は「対策としては、ガードレールを防音壁より内側に設置したり、防音壁と一体にしたりして、防音壁に車が正面からぶつからないような構造にすることが考えられるのではないか。今回の事故を機会に、道路全体を危険なリスク避ける構造に変更していくことが大事だ」と話しています。
こうした古い構造の場所がほかにどれだけあるかは分かっておらず、東日本高速道路は「事故の状況が詳しく分かりしだい、必要な対応を検討したい」と話しています。

「法は遡らず」というのは、大事な原則ですが、それは法律の事。
こういうのは違うでしょ。
遡って、すべての道路が安全になるようにするのが行政の仕事ですよ。

このような事故が繰り返されないように、道の構造そのものにも目を向けなければならないのですね。

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