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2012年5月31日 (木)

太陽の直径の測定

★今回の金環食で、太陽の半径を測定するという話題がありました。

太陽の大きさ、測った迫った 金環日食、全国で協力(朝日新聞 2012年5月25日)
 太陽の半径は69万6010キロ、誤差は20キロ――。21日朝にあった金環日食を利用して、天文学者らで作るプロジェクトが太陽の大きさを正確に測り、24日発表した。これまでの測定より精度が大幅に高まった。
 太陽の半径は約69万6千キロとされるが、光に包まれて輪郭がはっきりせず、海外での最近の測定例でも誤差が50~100キロと大きい。
 今回は金環日食で起きる「ベイリー・ビーズ」という現象を観測することで測定した。月と太陽の縁が重なる瞬間、月の表面の凹凸を反映して、金環が途切れて光の粒(ビーズ)になる現象だ。全国の観測地点で参加者が、正確に時計を合わせ、ビデオカメラで撮影した。鹿児島から福島まで23カ所で測定したうち11地点で高精度のデータが得られた。鹿児島県薩摩川内市のせんだい宇宙館の早水勉館長は「広い範囲で見られた金環日食と、参加者の協力のおかげです」と話した。

というのですが・・・。

●ベイリーズ・ビーズの測定で太陽の半径が正確に測定できるのだったら、なんで今までにやってないんだ?
と思いました。

ベイリーズ・ビーズというのは
理化学英和辞典 研究社 1998.7 によりますと

Baily's beads [天文]ベイリの首飾り:皆既日食の前後で、月の影から太陽の光球が少しだけ顔をのぞかせたときに見られる、明るい点弧状の輝き。・・・[Francis Baily (1774 - 1844) 英国の天文学者]

http://eclipse-navi.com/yougo/kinkan/beiriibiizu.html

イギリスの天文学者フランシス・ベイリーが1836年5月15日の金環日食を観測した際、欠け際ぎりぎりに月のクレーターから光がとぎれとぎれに漏れているのを見つけました。これを見て「輝くビーズの列のようだ」と表現したことに由来する現象がベイリービーズ(Baily's Beads)です。
ベイリービーズが見えやすい日食

ベイリービーズは次のような日食でよく見られます。
•     皆既食よりも金環食
•     皆既食や金環食となる継続時間が長い日食よりも、継続時間が短い日食
•     皆既食や金環食の中心線に近い観測地点よりも、限界線に近い観測地点

このような条件下では長い時間にわたってクレーターから数多くの光が漏れやすく、ベイリービーズが観測しやすくなります。例えば1948年5月9日に起きた礼文島での金環日食は、皆既日食に限りなく近い金環日食でした。このため月の谷間から随所でリング状に光が漏れて、全周にわたってベイリービーズが観測されました。このような現象をダイヤモンドネックレスと呼ばれる方もおられます。

★この疑問は、NHKのニュースを聞いていて、あ、そうか、と解けました。

NHK 5月25日 5時7分
太陽の直径 金環日食で計算

今月21日に日本で観測された金環日食のデータを使って、これまで100年以上にわたって正確には分かっていなかった太陽の直径を、139万2020キロと精度よく求めることに国立天文台などの研究グループが成功しました。

今月21日の金環日食の際には「ベイリービーズ」と呼ばれる月の谷間からこぼれた小さな光が玉のように連なる珍しい現象が全国で観測されました。
国立天文台の相馬充助教らのグループは、このベイリービーズの詳細な観測データから、正確には分かっていない太陽の直径を求めようと全国に呼びかけてデータを集めました。
そして、光の玉が月のどの谷間によってできているのかを月探査衛星「かぐや」のデータと照らし合わせて割り出し、観測地点からその谷間を通る直線を引いて太陽の中心との間で直角三角形を作りました。
・・・

「かぐや」が出てきましたね。そうか、月の表面が正確に測定されたので、「その先の太陽の縁」も正確に測定できるんだ、ということですね。
「かぐや」という言葉を聞いて、ストンと納得が成立しました。

下のサイトに詳しく載っていました。
http://www.eclipse2012.jp/team-b/

金環日食観測チームB
(ベイリービーズ拡大観測チーム)
1.チームBについて
 金環日食観測チームBは、ベイリービーズの明滅の瞬間の時刻を正確に観測することを目的とします。これは、星食の観測手法で月縁をものさしとして、太陽の直径を精密に観測する試みです。
  星食には、月が恒星を隠す星食や、小惑星が恒星を隠す「小惑星による恒星食」がよく知られています。これらの現象において、恒星が消滅する瞬間,出現する瞬間の時刻を正確に計時することで月縁や小惑星の形状を精密に決定できます。これを日食に応用する観測です。

2.期待される観測精度
ベイリービーズ明滅時刻の観測は、星食観測の原理と同じであり、ビデオによる観測なら小口径の望遠鏡においても 0.01~0.02秒角もの高精度で月縁を決めることが期待できます。これは太陽の縁にしてわずか 7~15km に相当するものです。
このベイリービーズの観測では、限界線付近はもちろんのこと、金環帯に幅広く観測者が分布することがより望ましいといえます。
月縁の地形は、日本の月探査衛星「かぐや」により誤差10mもの高精度で求められていることが相馬らにより確認されています。一方で意外と知られていないことに、太陽の半径は現在測定されている値でも 100km程度の誤差を含んでいるとされます。
国際天文学連合の採用する太陽半径 696,000km の値そのものが 1891年というかなり以前に求められたものです。仮に当時のこの値が十分に精度の高いものであったにしても、その後太陽半径は変化しているかもしれません。今回の金環日食の観測は、太陽直径を高精度で求めることがゴールです。

このページの下には詳細な図版もあって、納得です。

NHKのニュースに

光の玉が月のどの谷間によってできているのかを月探査衛星「かぐや」のデータと照らし合わせて割り出し、観測地点からその谷間を通る直線を引いて太陽の中心との間で直角三角形を作りました。

こうありますが、図はこうです。
Baily
月の縁が正確でないと、太陽の縁が正確に測定できないということなのです。
こんなところに「かぐや」の成果が登場してくるとは思っていませんでした。
面白いものですね。丹念に月面の調査・測定をしたということが、今度は太陽の測定に役立つとは。
日食だけでは味わえない科学の醍醐味を堪能しました。

{お恥ずかしい話を一つ}
チームBとあったので、チームAもあるのかな、と思って調べたけれど、ありませんでした。
BはBailyのBですね。おお恥ずかしい。

お気づきかと思いますが・・・
私は「ベイリーズ・ビーズ」と書いています。
日本語的には「ベイリービーズ」でいいのでしょうが、英語では所有格の「's」が入ります。
日本では英語由来の単語などが溢れていますが、英語の文法を無視したり、略語にしてしまったりが多いですね。
ちゃんとカタカナ化しておけば、カタカナ発音でもかなり通用するはずなんですよ。
で、故意に逆らってベイリーズ・ビーズとしておきました。

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