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2012年5月 9日 (水)

分子の干渉

★前の記事で、電子の干渉の話を扱いました。
粒子として1個ずつ飛んでいく電子が、ダブルスリットを「通過」すると、波の性質である「干渉縞」を生じるのでした。

実は、同じ出来事が、電子よりはるかに大きい分子で観測されるのです。

★化学同人が出している「化学」という月刊誌があります。
2012年5月号(Vol.67)の42ページに
[連載 化学いまさら問答(9)] 実は誰もわかってないかもしれない簡単化学(Quantum Chemistry)
という4ページの記事があります。
{「簡単」は「kantan」で、「quantum」=クンタム=カンタム、に引っかけてあります。}

下で、その記事が読めます。{グラフも見られます。}
http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/web-kagaku03/c6705/c6705-bt/index.html

これを読んでいたら、フラーレンについてダブルスリット実験を行って干渉縞が現れた、という話が載っていました。なんとなく聞き知ってはいましたが、結果のグラフまで見たのは初めてでした。

光が干渉する。電子が干渉する。

これは、まあ、スケールがひどく小さいので、そんなもんか、と思いますが。
フラーレンはC60です。炭素原子が60個、サッカーボールと同じ形に結びついたものです。
直径にして、1nmはあるでしょう。でかいです(電子に比べて)。
「物体」です。
これが干渉するなんて。

電子の干渉のように、真空中にフラーレンを飛ばします。140m/sくらいの速さ。
ダブルスリットの間隔は100nm。
スリットから検出器までが1.2m。
これで、検出器のカウントを縦軸に、検出器の位置を横軸にとって、グラフ化すると、縞模様が出るんですね。

まいった。
記事では、C70でも干渉縞を確認。8原子の化合物、356原子、430原子の化合物でも同様の実験で干渉縞が確認されたとあります。

★ド・ブローイの物質波の概念はもちろん知ってますけど。
フラーレンが干渉するなんてなぁ。
なんだか、くらくらするような気分です。

「化学」の記事にこんな言葉が引用されていました。孫引きします。
Niels Bohr said, "If you are not confused by quantum physics then you haven't really understood it."


下のサイトで、フラーレンの干渉実験の概要が読めます。全文英語ですけど。
http://www.univie.ac.at/qfp/research/matterwave/c60/index.html Diffraction and Interference with Fullerenes: Wave-particle duality of C60

実験装置の写真や、結果のグラフなどもありますので、関心がありましたらどうぞ。

★読み物
日経サイエンス 2012.03
「光子の逆説」谷村省吾
歯応えあります。でも、面白いです。
35ページの図のキャプションを引用します。

光子は自分自身と干渉する:連続的に流れ出る光でなく光子1個で実験しても、干渉縞は生じる。1個の光子が波となり、右のスリットと左のスリットを同時に通って干渉する。スクリーンの画像は浜松ホトニクスが1981年に実際に観測したもの。

こうですよ。
日経サイエンス 2012.04 では「小澤の不等式」の話が載っており、谷村省吾氏の「不確定性原理で『光子の逆説』は解けるか」という記事もあります。
図書館などで読めるようでしたらどうぞ。

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