金環日食:1
金環食に関して、頭の中でいろいろ浮かぶことを。
★基本的なことをもう一回
奥行きを無視して、太陽も月も板で表現してありますが、本質的には差支えはありません。
太陽光線によって月の影が出来ますが、影には、本影と半影の2種類が生じます。
本影の中からは、太陽は全く見えません。
半影の中からは、太陽が部分的に見えます。
・その時の位置関係によって、地表面に本影が落ちる時があります。図中「地表(1)」と表示してある位置関係です。
この時、本影の中からは太陽が全く見えませんので「皆既食」となります。
半影の部分からは「部分食」ですね。
・今回、2012年5月21日の日食では、「地表(2)」と表示した位置関係になりました。
本影そのものは地表面に届かず、その延長が地表面に届きました。
本影の延長部分を「擬本影」といいます。
本影を延長したのだから、擬本影のなかでは本影の中にいるのと同じだろう、というわけにはいかないのです。
図を見て頂ければ明らかですが、擬本影というのは半影が重なりあった部分ということになります。
半影が重なったのですから、部分食が重なったようなものなのですね。
図中、擬本影と書いた部分が地上に落ちた場所が「金環食」が見られた地域です。
距離関係によって、月の方が太陽より見かけの大きさが小さいと、太陽を完全に覆うことができなくて金環食になる、という説明で、完全に正しいのですが、私の描いた図では少し違う表現をしています。
擬本影の中から観測者が太陽を見る「視線」を考えると、赤で描いた線ですが、太陽面が見えてしまうのですね。煩雑になりますので片側しか描きませんでしたが、両側ともそうです。2次元的にはそれが金環という輪として太陽面が見えてしまいます。
これが金環食の原理です。
・こんな風に、光の限界線や視線を考えてみると、色々な現象がよく分かる場合があります。今回の私の図は、少々厄介だったかもしれませんが。
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