ハスの花に黄金比
朝日新聞の記事の一部です。
ハスやクジラの研究に評価 高校生科学技術チャレンジ、神奈川から受賞2件(2012年1月28日11時7分)
■ハスの黄金比を発見――日本女子大付属高 西村さん
ハスの花はなぜ美しいのか。西村さんは約800年前の種から開花した古代ハスを観察し、花びらの間隔が黄金比の137.5度で並んでいることを突き止めた。
きっかけは2年前。岩手県平泉町の「中尊寺ハス」が、宇都宮市で花を咲かせているというテレビニュースを見た。「ハスを調べてみたい」。すぐにハスを育てている恵泉女学園短大の長島時子名誉教授と連絡を取り、ハスを見せて下さいと頼み込んだ。
「明日、咲くよ」。長島さんから連絡をもらうたびに、母の光代さんが運転する車で、自宅のある埼玉県蕨市から120キロ離れた宇都宮市へ。カメラを据え付け、深夜から10時間ほどかけて開花するハスの様子を1分ごとに撮影して記録する。蒸し暑い真夏の夜。「土砂降りの日はさすがにきつかったです」
花びらの黄金比を見つけたのは、これまでの観察の成果でもある。ヤエムグラやヤスデの葉が規則的に生えることを調べていたので推測できた。
「黄金比が出た時は、驚きと喜びで鳥肌が立ちました」
植物に備わる力の不思議に夢中だ。「花の中で小さな虫が寝ていたんです。あの上品な香りにも何かあるのかも……」。旺盛な好奇心は次に向かっている。(星井麻紀)
(後略)
{もう一件は略します。ゴメンナ。「クジラを尾骨で分類──横浜緑ヶ丘高 地学部の3人」なんですが。}
★ところで、
「花びらの間隔が黄金比の137.5度で並んでいる」
「黄金比が出た時は、驚きと喜びで鳥肌が立ちました」
とあるのですが、この記述だけで、そうか黄金比なんだ、と分かる方は多分少ないと思うんですよね。で、少し解説します。
★黄金比
結論だけ先に言ってしまいますと、
黄金比とは
1:(1+√5)/2
という比のことです。
(1+√5)/2≒1.61803・・・ です。
・線分をこの黄金比に分割することを「黄金分割」といいますね。
{大雑把な話では1:1.6くらいですね}
・では、角度360度を黄金比に分割してみましょう。
ほら、137.5度がでてきたでしょ。
★これなんです、西村さんがハスの花で発見したのは。
葉がこの角度ずつずれながら茎からでていくと、上から見て完全に重なることはないんですね、常にずれる。
日光をなるべくたくさん、もれなく受けることができるようです。
でも、目的論的にそうなったのではなく、たまたま、そういう角度で葉がつくと光合成量が多い、という進化を遂げた植物グループがある、と理解すべきでしょう。全ての植物で、この角度で葉が必ずつくわけじゃなし。
で、花は葉の変わったものと考えられますから、花の花弁の配列に137.5度が現れることもあるのですね。
あるいは有名なヒマワリのように、花自体の配列にこの角度が入っていることもあります。
パイナップルの葉の付き方、花の付き方などにもこの角度があります。
きっと調べるともっと一杯あるのでしょう。
★この黄金比については、また稿を改めて書くことにします。
話のネタはいくらでもあるんで、どこに絞るか、思案中なのです。
「理科おじさん」カテゴリの記事
- 化学の日(2022.10.26)
- 秒速→時速(2022.09.01)
- 風速75メートル(2022.08.31)
- 「ウクライナで生まれた科学者たち」(2022.05.31)
- 反射光(2022.05.09)
コメント