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2012年2月28日 (火)

メタンハイドレート

★メタンハイドレートが話題を呼んでいます。
試掘がおこなわれるというニュースをあちこちで聞きました。
下は2月25日の天声人語の一部です。

「燃える氷」が呼ぶ春
 ・・・
 張り始めは冬の使者であり、解け出して春が兆す。氷というもの、水面(みなも)の自然現象だと思っていたが、海の底にも大量に眠っているらしい。それが、日本のエネルギー事情に春を告げるかもしれない。
 「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートを掘り出す準備が、世界に先駆け愛知県沖で始まった。7千メートルまで掘れる探査船「ちきゅう」が、試掘の井戸づくりに取りかかっている。

 メタンハイドレートは、水の分子がメタンを閉じ込めたシャーベット状の物質で、分解すると体積で170倍のメタンガスが生じる。日本近海の埋蔵量は、国内の天然ガス消費の約100年分ともいわれ、うまく取り出せば貴い国産資源になる。
 この春、国内の原発がすべて止まるかもしれない。風力や太陽光はまだ力不足で、しばらくは火力発電に頼るほかない。夏に向け、いや四季を通じて、薄氷(はくひょう)を踏むような電力需給になりかねない、と案じる向きもある。実用化は先にしても、燃える氷への期待は高い。
 エネルギー小国の苦汁をなめてきた日本である。何とかしようと究めた原子力は、ご覧の通り。放射能の御(ぎょ)しがたさを思えば、井戸を掘る手にも力が入るというものだ。もちろん、節電という有望資源も掘り続けたい。

★詳しい解説をする気はないのです。
「燃える氷」という言い方が通用していて、なんだろう?という方も多いことと思って、ちょっとだけ解説します。
Hydrate というのは「水和物」という意味です。
水分子は、H-O-Hと並んでいますが、真っ直ぐではなく、「く」の字に曲がった分子です。
また、H-O-H…O と隣りの水分子の酸素原子と、水素原子を挟んで相互作用できます。
このせいで、水分子がボール状に集合することができるんですね。

下の参考サイトを見てください。水分子がボールを形成して、その内部空間にメタン分子をいれることができる、という図があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88
「メタンハイドレート」
http://mhy.cmpcmp.net/020/ent4.html
「メタンハイドレート入門」

水分子が互いに束縛しあって液体ではなく固体状態になっている、という意味で「氷」という言葉が使われますが、日常に見る氷とは構造が全く異なるものです。
そして、低温・高圧下で生成します。
可燃性のガスであるメタンを閉じ込めていますので、火をつけると、メタンガスが解放されて燃えるわけです。
そこで、「燃える氷」というわけですね。
ウィキペディアにはその様子の写真が載っています。

★さて、燃える氷の解説はそれだけにして。
私にとって気になることを一つ二つ。

●「日本近海の埋蔵量は、国内の天然ガス消費の約100年分ともいわれ、うまく取り出せば貴い国産資源になる。」

「たった100年」or「100年も」

私は「たった」の見解ですが。
使えば減ってすぐなくなる資源です。
100年なんてあっというまでしょ。
メタンでないとうまくいかない、という分野はあるかもしれません。
でも、エネルギーの根幹に据えることはできないでしょう。
「夢の資源」というわけではない、と考えます。

●メタンは「温室効果ガス」だという点
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/ghghp/20gases.html

二酸化炭素(CO2)
 二酸化炭素は地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスです。人間活動に伴う化石燃料の消費とセメント生産および森林破壊などの土地利用の変化が、大気中の二酸化炭素濃度を増加させつつあります。工業化時代以前からの大気中の二酸化炭素濃度の増加の75%以上が化石燃料の消費やセメント生産によるものです。残りの増加は、農法の変化による寄与を含めて、森林破壊を主とした土地利用変化(と関連するバイオマス燃焼)によるものです。これらの増加はすべて人間の活動に起因します(IPCC,2007)。

メタン(CH4)
 メタンは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスであり、湿地や水田から、あるいは家畜および天然ガスの生産やバイオマス燃焼など、その放出源は多岐にわたります。メタンは、主に大気中のOHラジカル(ラジカルとは非常に反応性が高く不安定な分子)と反応し、消失します。

順調に事故なく掘れれば、まあいいとして、しくじってメタンの放出を止められない、などという事故をやってしまったら取り返しがつかないですよ。
家畜のげっぷやおならまでメタン源として気にするような事態なんですよ。
人間の技術なんて大して当てにはならないということは原発事故であからさまになりました。
2010年のメキシコ湾原油流出事故は、原油の流出が止められなくなってしまった、という事故でしたね、あの事故も記憶に新しい。

海底で、メタンの噴出が止まらなくなった、などということのないように。

★そんなことが気になる私です。

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