除菌水
こんな記事がありました。
使うたびきれいになる便器(朝日新聞 2012年1月15日19時44分)
衛生陶器大手のTOTO(北九州市)は2月1日、使うたびに「きれい除菌水」が流れて汚れや黄ばみを防ぐトイレを発売する。1回に使う水の量は業界最少の3.8リットルまで減らし、節水しながら、きれいに洗い流せるようにする。
発売するのは「新 ネオレスト ハイブリッドシリーズ」。水道水に含まれる塩化物イオンを電気分解して「除菌水」を作り出し、便器にふきかける。薬品を使っていないので環境も汚さない。トイレを使っていなくても8時間たつと自動的に「除菌水」が流れる。
・・・(後略)
★平成23年4月1日からの水道法に基づく水質基準の改正では
塩化物イオンは、200mg/L以下
となっています。
水道水には塩化物イオンはこれ以下の量で含まれているわけですね。
ここへ電極を入れて電圧をかけると陽極側で電子を奪い取る反応が起こります。
いろんな反応があり得ますが、メインは下のような式で表される反応でしょう。
塩化物イオンが陽極表面に衝突して水と反応しながら電子を奪われる時に、次亜塩素酸と水素イオンが生じる。
水素イオンが生じるということは水が酸性になることですね。
で、次亜塩素酸が生じるというのは、水道水の有効残留塩素と同じことなのです。
{塩素ガスが生じて、直ちに水と反応して、次亜塩素酸と塩化水素を生じる、としても結果的には同じですが、塩化物イオンが稀薄なので上の式の形に書いてみました。}
よく、水道水に食塩(塩化ナトリウム)を溶かして、電気分解して、電解水とかいって利用するようですが、それも基本的には同じです。
積極的に食塩を溶かしていませんので、生成する次亜塩素酸の濃度はごく薄いものでしょう。どのくらいの効き目があるのかよくわかりません。
というわけで、疑問符付きでこの記事を読みました。
便器に手を突っ込んでごしごし洗う方がきれいになるんじゃないかなぁ。
どうせ自分たちが出したものなんだから毛嫌いするほどのものでもなし。
私は定期的に便器に手を突っ込んで洗っていますが。
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