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2011年11月21日 (月)

クロアゲハ

1103_13kuroageha1 2011.11.3
クロアゲハが羽化しました。
美しいです。
1103_13kuroageha2
なんだかね、1カ月近く前のことを思い出してしまいます。
猫のラン太が逝った日も、クロアゲハが羽化したんだったよなぁ、と。
1103_14duranta
これ「デュランタ」。
ラン太と名前が重なると言って、妻が好きな花です。
簡素なお通夜に、デュランタとかランタナとか摘んで来て瓶に挿し飾ってやったのでしたっけ。
もう心理的には落ち着いて、いろいろ思い出話も気楽に出来るようになりました。
でもまだ「尻尾」を引きずってますね、ワタシ。
なんにしてもまぁ、クロアゲハというチョウのイメージ喚起力は強いですね。
大好きなチョウです。

★ところで
11月16日の報道で、

朝日:アゲハ、ミカン見分けて産卵 幼虫のための本能を解明
毎日:アゲハチョウ:産卵植物選別の仕組みを解明
日経:アゲハチョウ、産卵の葉を前脚で味見 JT生命誌研など解明

各紙こういう見出しの記事がありました。

アゲハの幼虫の食草がミカンであることは、かなりよく知られていることですし、前脚で葉を叩いて味見して確認してから産卵するということも、まぁ、虫好きならそれなりに知られています。
その意味で、朝日と日経の見出しは、新規性がない。
毎日だけが、「選別の仕組み」という形で内容の一端が分かるようになっています。

・朝日では
「シネフリン」という物質名がありません。
「ミカンの葉が出す物質に反応する遺伝子」という不正確な表現をしている。
しかし、キアゲハとの進化上の分岐の問題を扱っている。
・毎日では
「植物に含まれる成分を感じ取るとみられる遺伝子を特定。別の細胞で働かせてみたところ、ミカン科植物に含まれる酸味成分「シネフリン」と触れると、細胞内に変化が生じるのが見つかった。」と表現。そして、応用・利用の可能性に言及。
・日経では
「「シネフリン」があると反応する味覚を生む遺伝子を見つけた。」と表現しています。

●同じソースから記事を作ったと思うのですが、かなり違うものなのですね。

私が推測するに、

前脚の感覚毛の根元の神経細胞表面にあって「ミカン科植物に含まれるシネフリンという物質と結合して細胞内に信号を送るたんぱく質」をつくる遺伝子を特定した。

というのが基本的な内容ではないかなと思います。
遺伝子が直接、細胞外から来る物質に反応するというのはおかしい。
遺伝子が反応したら何が起きるか、遺伝子のDNAからコピーのRNAを作って、そのRNAが核の外へ出てたんぱく質が合成されて、そのたんぱく質が働く、という順序になりますが、それじゃあ飛び回りながら色々な植物の葉をチェックしているアゲハの仕事に間に合いません。

分かりやすさも大事でしょうが、きちんとした内容を伝えてほしいと思います。

最近は科学的な記事も必ず最後に「~~のために役立つ」というような、役立つものばかりがもてはやされますが、まず自然の仕組みを知ること、それが大事なのだと私は思っています。今役立つものが、将来も役立つかどうかはわかりません。今役立つつもりの物質が将来に禍根を残すことだって大いにあります。人間の浅知恵を振りかざすのはよくない。

・朝日が書いた

 一方、遺伝子がよく似たキアゲハはセリ科の植物に卵を産む。尾崎研究員は「数百万年前に突然変異で分かれたらしい。環境の変化に合わせて食べ物を変え、進化してきたようだ」と話す。

という行は大事なことだと思います。

キアゲハが「セリという新しい食草」へシフトするにはどういう道筋が必要だったのかが推測できます。

 シネフリンと結合するたんぱく質の遺伝子にの変異が起きる
→たんぱく質が変異する(その結果)
→シネフリン感受性を失う
→セリ科植物の成分への感受性を獲得
→種の分岐

こんなような道筋をたどるのでしょう。
「環境の変化に合わせて食べ物を変え」という「意志」とか「目的」によって進化するのではないと思います。
たまたまシネフリン感受性を失ってセリ科感受性を獲得して、まだ他のチョウが開発していない食草を獲得して新しい種へと発展できた。
進化とはそういうものです。生態系のすき間へ、未開発のところへ、多様化していくことです。
進化における競争では、「弱肉強食」のような食べたり食べられたり、ということよりも、実は、「食べ物の競合」というようなことの方が重大なのです。同じ食べ物で競合するのは大変なんです。ですから、まだ「食べ物」になっていないものを食べられるようになるというのは重大なことなのです。

以下に長くなりますが、新聞記事を引用します。アゲハ大好き夫婦なものですから、こだわってみました。
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朝日新聞(2011年11月16日11時6分)
アゲハ、ミカン見分けて産卵 幼虫のための本能を解明
 アゲハチョウの母親は、ミカンなどの葉しか食べない幼虫のため、ミカンを見分けて産卵する。その際に働く遺伝子を、JT生命誌研究館と大阪大、九州大などが明らかにした。幼虫の食べ物選びをふまえて産卵するという昆虫の本能を、遺伝子レベルで解明したのは初めて。環境の変化に合わせて昆虫がどう食べ物を変え、進化してきたかについて理解が深まりそうだ。
 アゲハは卵を産む葉の味を前脚にある毛で感じている。JTの尾崎克久研究員らは、ミカンの葉が出す物質に反応する遺伝子をコンピューター解析で推測した。この遺伝子を働きにくくすると、ミカンの葉が出す物質を味見しても2割しか産まなくなった。普通のアゲハは7割が産卵した。
 一方、遺伝子がよく似たキアゲハはセリ科の植物に卵を産む。尾崎研究員は「数百万年前に突然変異で分かれたらしい。環境の変化に合わせて食べ物を変え、進化してきたようだ」と話す。16日の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に掲載された。
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日経新聞(2011/11/16 1:00)
アゲハチョウ、産卵の葉を前脚で味見 JT生命誌研など解明
 JT生命誌研究館の尾崎克久研究員らや九州大学などは、アゲハチョウが産卵する葉を選ぶ仕組みを解明した。幼虫の食べる葉を見分ける味覚遺伝子が前脚で働いていることが分かった。昆虫が草を見極める方法が分かるのは珍しい。15日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に掲載される。
 アゲハチョウは幼虫の食べるミカン科の葉にだけ卵を産む。葉から産卵を誘発する10種類の物質が出ており、そのうち2種類以上があると産卵する。こうした物質の一つ「シネフリン」があると反応する味覚を生む遺伝子を見つけた。
 サナギに細工して、この遺伝子が働かないようにしてみた。羽化したメスのチョウは、シネフリンなど2種類の産卵誘発物質があっても、8割が産卵しなかった。普通のチョウは約7割が卵を産むという。
 今後はほかの産卵誘発物質に反応する遺伝子や、ほかのチョウの仲間でも調べる。
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毎日新聞(2011年11月16日 1時00分)
アゲハチョウ:産卵植物選別の仕組みを解明
 アゲハチョウのメスが前足の「感覚毛」を使って、幼虫が食べられる植物を選別して産卵する仕組みを、JT生命誌研究館(大阪府高槻市)と九州大などの研究チームが解明した。害虫が農作物に産卵しないよう改良する方法を開発する手がかりにつながると期待される。15日付の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版で発表した。
 アゲハチョウのうち例えばナミアゲハのメスは、ミカン科の植物の葉に産卵する。その際、「感覚毛」で幼虫が食べられる植物を特定するが、これまで未解明だった、こうした仕組みをつかさどる遺伝子を見つけた。
 同館の尾崎克久研究員(分子生物学)によると、「感覚毛」の根元にある神経細胞では約1万種類もの遺伝子が働いている。このうち植物に含まれる成分を感じ取るとみられる遺伝子を特定。別の細胞で働かせてみたところ、ミカン科植物に含まれる酸味成分「シネフリン」と触れると、細胞内に変化が生じるのが見つかった。
 今度はシネフリンを塗った人工葉を準備し、そこにナミアゲハを放したところ、約7割のメスが産卵。一方、この遺伝子の機能を失わせたメスは約2割しか産まなかった。こうした実験結果から、メスがこの遺伝子の働きでシネフリンを見分け、その情報が脳に伝わることで産卵を促すと結論づけた。
 ナミアゲハ以外にも同様の手法で産卵したり、食べたりする植物を選別する昆虫は多く、こうした能力を担う遺伝子や反応する植物の成分もそれぞれ異なると見られている。尾崎研究員は「同じ方法で、他の昆虫でもこうした遺伝子を見付けていけば、遺伝子操作で農作物に産卵したり食べたりしないようにできるかもしれない」と話している。


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