ラン太逝く
2011.10.18
クロアゲハが羽化し、旅立ちの準備もできたようでしたので、玄関前で蓋を開けて放しました。これが13:38。
そろそろクロアゲハの羽化も終わりになったかな、と妻と話していました。
先に室内へ戻った妻が、突然大きな声で、ラン太頑張って!と叫びます。
1週間ほど前から、猫のラン太は体調を崩していました。
子らにもそのことを連絡し、東京の西の方で仕事をしている息子は前もって来宅して会って行きました。娘は九州で仕事をしていて、休暇が取れたので18日の午後に行く、と連絡があったのです。ですから、娘に一目会わせてやりたい、と妻はひたすらに「もう少しよ、頑張って」と声をかけてさすり続けましたが、甲斐なくラン太は旅立っていきました。
享年17歳。
長く生活を共にしました。長い「時」を共有しました。
甘え上手な猫で、食事の時は必ず隣りに座って、一緒に同じ魚をたべたものです。焼き魚、刺身、何でも好きでした。一緒に食べるのが好きでした。
朝は、2階の私共の動きを察知すると、大声で、早く降りてこい、降りてきて背中をなでてくれなければいけない!と叫んだものです。その大声が聞こえなくなって1週間でした。
急速に衰えてしまいました。
でも、粗相もせず、最後まで甘え上手でした。
娘は少し遅れて到着し、まだぬくもりが残っている体をなでていました。
さすがに、みんな取り乱しました。いいんです、そういう時は思いっきり取り乱してしまったほうが、心のやすらぎにはいい。
以前、とんたんという猫が18歳で亡くなった時にお世話になったペットの葬儀屋さんに連絡して、同じように火葬にしました。お骨になって帰宅したのが22日。
夫婦二人とも、ペットロスというようなことにはなっていませんからご安心ください。
とはいっても、欠落感は大きいですね。いつも並んで一緒に同じものを食べていたのに、いない。食事時にはいつも思い出してしまう。心に穴が開いたようだ。
あいつはこうだったよなぁ、なんて話もいろいろ出てくる。
子らに励まされる親です。
「気を落とさぬよう。」「落ち込み過ぎないように意図的にがんばりましょう。頑張るってこういう時にはしてもいいかな?」
それぞれメールをよこしました。
「今、私は悲しい」ということをきちんと意識化すること、それが一番でしょうね。
今は、ラン太の姉のチビたんという18歳の猫との暮らしになりました。
チビたんもよく分からないのでしょうが「不在」を感じ取って、普段とは違う声で呼ぶように鳴きます。10月も終わりにさしかかって、少し安定してきましたかね。
妻とこんな話をしました。
ラン太の魂は、クロアゲハさんの背中に乗って大空へ旅立っていったのかもしれないね、と。
チョウは魂の化身とか、黒いチョウには仏が乗っているとか、いろんな伝承がありますよね。
偶然とはいえ、旅立っていったクロアゲハと、ほとんど時を同じうしてこの世を去って命の循環の流れへと還っていったラン太を、重ね合わせてしまう、私たち夫婦です。
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読みながら思わず涙しました。うちも同じような状況で猫のエルは今年で21歳、猫年齢だと100歳だそうです。娘達がおいていったのですが今ではなくてはならない家族の一員です。今年の夏は越えましたが来年は分かりません。ご家族にこれだけ思われてラン太くんはとても幸せだったことでしょう。心よりご冥福をお祈りいたします。
投稿: 桔梗 | 2011年10月31日 (月) 15時18分
ありがとうございます。
時を共有するということは、「有ること難き縁」ですね。大切にします。
今は、深まりゆく秋のなかで、虫たちの命の営みに励まされなが陽射しを浴びております。
投稿: かかし | 2011年11月 1日 (火) 09時51分