知の顎
★朝日新聞の9月21日「安野光雅の絵本展」の話でしたか、で、安野さんがこう語っていました。
「文語体がわかると、理解が深まるような気がする。つっかかりながらわかっていくというのと、やさしくわかっていくのとじゃ、ちょっと違うんじゃないだろうか」
また、9月25日、作家の川端裕人さんが「数学本を読む 「憧憬」と「忌避」のあいだで」という話をしておられて
(前略)・・・「ニュースの本棚」で挙げられている『虚数の情緒』は「さあ諸君、勉強を始めよう勉強を」という呼びかけで始まる、約千ページの厚くて熱い本です。数学学習では、自分で手を動かして計算することが重要とよく言われます。本書も「もし学問に王道あらば、それは未舗装の泥道に違いない」と手計算の重要性を説きます。・・・(後略)
こんなことを言っておられました。
言葉は違いますが、同じ意味合いの内容だと思います。
★教職にあったころ、よくこんなことを言いましたっけ。
お粥ばかり食べてると、歯も顎も丈夫にならないんだぞ。
勉強も同じ。消化の良いお粥状にしてもらわないと、理解できないのではダメ。自分の「知の顎」で噛み砕き「知の歯」でよ~く噛み裂きすりつぶす。そうすると知の栄養分がよく吸収されて身につくんだ。
どうもねぇ、最近はお粥ばっかり食べたがるんですよ。自分で噛み砕こうとしない。
これじゃあ先行き暗いなぁ。
知の顎と歯をきたえなさい、って。
★若い世代を見ていてとても気になるのは
知のお粥ばっかり要求して、自分の顎で噛み砕こうとしない。そして、噛み砕き味わうという途中経過をとばして、「こたえ」ばかり欲しがる、ということでしょうか。
先生、ややこしいことはいいから、答え教えてよ、これが増えてしまったなぁ。
そして、失敗を強烈に怖がること。
失敗すると、自己の人格を否定されたような気持ちになってしまうのでしょうか。
成功した「正しい」結果だけが望まれる。
自然科学なんてね、失敗によって前進するものなのにね。失敗こそ知の原動力なのに。
ふと思ったことを書いてみました。
ご自分の身の回りではいかがですか?
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