セシウム
今日の朝日新聞の記事です。
汚染土、蒸してセシウム分離 福島・飯舘村で実験
東京電力福島第一原発の事故で汚染された土を蒸し焼きして放射性セシウムを分離する実験が26日、福島県飯舘村で公開された。除染で出る土壌などの廃棄物からセシウムを除ければ元の場所に返すことも可能で、処分する廃棄物の量の減少につながるという。
日本原子力研究開発機構と農業・食品産業技術総合研究機構が、ごみ焼却施設「飯舘クリアセンター」で実施した。こうした実験は国内初という。実験では、飯舘村の農地の土10キログラムを電気ヒーターを使い、セ氏800度で10時間、蒸し焼きする。セシウムは約640度を超えるとガスになるため、特殊な布のフィルターと、原発でも使われているガラス繊維のフィルターでガスをこしとる。
原子力機構の大越実・技術主席は「土に含まれるセシウムが数分の1になれば、廃棄物にしなくて済む。農土として再利用できるか検討したい」と話す。(杉本崇)
2011年10月27日
腑に落ちないんだなぁ。この話。
核燃料のウラン原子核が核分裂して生成するセシウムは、生成時は「金属の原子」かもしれないけれど、環境中に放出されたら、ほぼ直ちにセシウムイオンになっているはずだと思うんですよ。
周期表の1族「アルカリ金属」の仲間ですからね。
Li,Na,K,Rb,Cs,Fr(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)
です。
このアルカリ金属は反応性が高くて、高校の化学でNaやKと水の反応など、やったり見たりした方も多いと思います。そうして、下へ行くほど反応性は高くなりますので、セシウムが環境中にあって、金属でいられるわけがない。
金属のセシウムの沸点は658℃なんです、確かに。
環境中でポピュラーだろうと思う塩化物イオンとペアになって、塩化セシウム(CsCl)になったとして、その沸点は1290℃なんですよ。
800℃で焼いたって気化するとは思えないんだけどなぁ?
学者さんたちがやるんだから、何か沸点を下げる方法があるのかなぁ?
どういう根拠がそこにあるのか、示してくれないと、納得できませんね。
放射性物質であっても、化学的性質が異なっているということはありません。
なんだか、落ち着かない気分です。
結果を知りたい、必ず結果まで報道してほしい、と願います。
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