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2011年10月28日 (金)

NAS電池

10月26日の新聞にこんな記事がありました

大容量蓄電池の新規出荷を停止 日本ガイシ(朝日新聞 2011年10月26日)
 日本ガイシは25日、主力製品の大容量蓄電池「ナトリウム硫黄(NAS〈ナス〉)電池」の新規出荷を停止し、既存顧客に電池の使用停止を求めていることを明らかにした。9月に電池を使う三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)で起きた火災事故の原因がつかめないため、安全対策を優先する。 火災は9月21日、三菱マテリアルの工場で発生。消火に水が使えず砂で埋めたため、鎮火には約2週間かかった。日本ガイシは社内に事故調査委員会をつくり原因究明を続けているが、なお時間がかかる見通し。
 NAS電池の納入先は国内外約170カ所。東京電力も含まれており、今冬の電力供給に悪影響を及ぼす可能性もある。来年1月に予定している東北電力の能代火力発電所(秋田県能代市)への納入も間に合わない可能性があるという。
 節電に有効なNASに注目が集まり、同社は2012年3月期のNAS事業の売上高を過去最高の280億円と見込んでいた。

ナトリウムの元素記号が「Na」で硫黄の元素記号が「S」ですから、ナトリウム硫黄電池は「NaS電池」なんですね。
大容量の蓄電池として期待される蓄電池なのですが。
大ざっぱな仕組みは

[負極では]金属ナトリウムが電子を出してナトリウムイオンになる。(固体電解質としてのアルミナの中を通ってナトリウムイオンは正極へ移動)
  ↓
  ↓外部回路を電子が流れ
  ↓
[正極では]ナトリウムイオンの存在下に、硫黄が電子を受け取って硫化ナトリウムが生成する。

こういう反応です。
ナトリウムの融点は98℃、硫黄の融点は113℃。
両方とも液体でないと電池として働きませんから、少なくとも100℃を超えなければなりません。
ナトリウムイオンがアルミナの中を移動するのには、高温がよいので、通常300℃程度で運転すると聞いています。

火災が起きたということですが、何が燃えたか分かりません。
液体のナトリウムが空気にさらされたら、すごいことになりますね。ほぼ爆発的に燃えるでしょう。
液体の硫黄が空気にさらされたら、「燃える」という感じにはなるでしょうね。二酸化硫黄が発生して近づきがたいことになります。
運転温度が300度程度ですから、まずその温度だけで水をかけるわけにもいかない。激しく蒸発して大量の蒸気が発生して危険。
ナトリウムは冷たくったって水と反応しますから、高温のナトリウムに水をかけるなんてとんでもない。
そこで、「砂で埋めた」のでしょう。酸素を可能な限り断ち、冷却を待った、ということですね。

ナトリウムは扱いにくいですね。
高速増殖炉「もんじゅ」の事故もナトリウムの漏出でした。

蓄電池としてナトリウム硫黄電池は高性能ですので、安全技術を成熟させてどのような事故にも耐えられるようにしてほしいものです。
電気を蓄える技術はなかなか進みません。
NaS電池は、数少ない大容量の蓄電池なので、これからどうなっていくか、注目したいと思います。

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