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2011年8月18日 (木)

頭頂眼

積ん読になっていた本を読み始めました。
「感覚器の進化」岩堀修明 著、講談社ブルーバックス B-1712,2011年1月20日
という本です。
46ページまで読み進んで、あっと驚いてしまいました。

第2章 視覚器
2-5”第三の眼”頭頂眼
●頭頂眼をもつ動物
 ・・・
 現生動物の中では頭頂眼を観察できるのは、ヤツメウナギ類や、カナヘビなどのトカゲ類の一部だけとなってしまった、これらの動物の頭頂部は、皮膚の一部が欠如していたり、やや陥凹したりしているところの透明度が高くなっていて、その奥にごく小さな眼が隠れている。透明度の高い皮膚は角膜の役割を果たしていて、頭頂眼はそこを通して光を受容している。

「頭頂眼」というものは知っていました。理科少年でしたから小学校の高学年か中学校くらいでは知っていたと思います。ムカシトカゲの頭頂眼というのは結構有名な話ですから。
でも、ムカシトカゲなんて実物を見たこともないし、日常の生活でそういう頭頂眼を持つ動物がいるなんて全く知らなかった。

カナヘビに頭頂眼があるなんて!知らなかったゾっ。

本にはカナヘビの頭部の写真が入っていて、「頭頂陥凹(透明度の高い部分)」という写真があります。「カナヘビの頭頂陥凹は、光を通し、角膜の働きをしている。この奥に頭頂眼がある」というキャプション。
わぁ、そうなんだ、カナヘビの写真ならあるじゃん、見てみなくっちゃ。

2011年8月 9日 (火) カナヘビの子
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-b588.html

2011年8月11日 (木) カナヘビ
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-6dab-1.html

この二つの記事で使った写真の元の写真を新たにトリミングしてみました。
0801kanahebi 2011.8.1
これは幼体の写真です。
頭部は大きな鱗で覆われていますが、一番後ろにある左右2枚の大きな鱗に接する中央の小さな鱗の上に丸いポチがありますね。
白い矢印で指しておきました。

0802kanahebi 2011.8.2
こちらは成体。
丸いポチはくぼんでいますね。
これが「頭頂陥凹」です。ここが光を通して、このポチの下の頭頂眼が光を受けているのです!!

ここに頭頂眼があるんだ!!

いやぁ、うれしい。知らなかったことを知ることができる、というのは純粋な喜びですね。

庭を日常的に走り回っているカナヘビに頭頂眼があったなんて。なんということでしょう!
ただひたすら喜びに浸っております。

★ところで
ブルーバックスの続き

●内分泌器官への転身
 頭頂眼の元になる眼は左右1対となって発生する。しかし間脳胞の天井部分は左右の幅が狭いので、目が大きくなるにしたがって横に並ぶことができなくなり、前後に配列するようになる。
 この2つの眼のうち、頭頂部に近く、光を受けやすい位置にある方が頭頂眼となり、もう一方は光を十分に受けられないため「松果体」という内分泌器官となった。多くの動物では、松果体が生き残り、頭頂眼は痕跡のみを残すか、または消滅していった。

まったくもってリーズナブルな話ですね。基本は「対」。
頭頂眼の片割れは?
松果体なんですね。
私たちの脳内にも松果体はあります。ただ、直接光を受けてはいなくって、眼からの信号を間接的に受け取って、ほぼ1日周期の活動のもとになる、生物時計の時刻合わせをしています。


「動物たちは何を見ている?」武藤政春著、泰流社 刊、1994年9月10日 第一刷発行
こういう本がありまして。
眼科医の武藤さんが、「眼科臨床医報」という月刊誌に連載したコラムをまとめたものです。
で、

◆ムカシトカゲ
 ニュージーランドの小さな島には、ムカシトカゲという「三つ目小僧」のような動物がいます。ムカシトカゲは、七千万年以上も前に地球上に現れ、恐竜時代に全盛を迎えましたが、現在はほとんど絶滅してしまい、わずかにニュージーランドに残る「生きた化石」ともいうべき動物です。体長は60~70cmくらいで、日中はミズナギドリの巣穴に居候していて、夜になると外に出て昆虫を食べて生活しています。
 ムカシトカゲの特徴は、小さいときに目を三つ持っていることです。成長するにつれて頭皮が第三の目をおおってしまうので分かりにくくなりますが、一対の目のほかに頭頂部に、頭頂眼と呼ばれる簡単な構造をした目を持っています。この目は、おそらく昆虫の単眼と同じように、外界の明るさの移り変わりのサイクルを認識する器官だろうと考えられています。
 ・・・
 ヒトの目は、物を見る本来の役目と、生物時計を働かせる頭頂眼の役目をあわせ持っていて、物を見る中枢を大脳後頭葉が、生物時計中枢を松果体が担っているようです。もしも目に異常がなく、大脳後頭葉の視中枢が破壊されたとしても、その患者さんは自分の目が見えないことを否定します(これをアントン徴候といいます)。これは、物を見る中枢が破壊されても、明暗の区別の分かる目と、松果体の生物時計回路が健在なので、自分が明るい所にいるのか暗い所にいるのかが分かるからなのです。物を見る機能と、明暗を区別できる機能の両方が失われると、大変つらいことですが、初めて患者さん自身も自分の目が見えないことを認めるのです。

こういう話が載っておりました。
そういうものなんですね。

★初めに引用した「感覚器の進化」の初めの方にこんなことが書いてありました。

 感覚器からの情報が脳に伝えられることにより生ずる印象が「感覚」である。感覚に、強さや時間的経過などが加味されると「知覚」になる。さらに知覚が過去の経験や学習に基づいて解釈されて「認知」となる。
 指で鉛筆に触れたとき、何かに触れていると感じるはたらきが触覚という感覚であり、触れたものの大きさ、形、表面の様相などを知るはたらきが知覚である。さらに、これらの情報から、過去の経験に基づいて、指で触れたものが「鉛筆」であることを認めることが任地である。
 ・・・
 刺激によって生じる感覚は、刺激の性質によって決まるのではなく、どの受容器が刺激されるかによって決まる。受容器がどのような刺激によって興奮しても、その受容器に特有の感覚のみが感知されるのである。

かなり考えさせられますね。私たちがとらえている世界は「ヒト」という生物の感覚器を通して受け入れられた姿なのであって、他の動物がどのように世界を感じているのか、知ることはできません。

★カナヘビの頭頂眼からずいぶん脱線しましたが、実に楽しい読書を続けております。
1000円足らずでこんなすごい喜びに心ふるわせることができるのは読書だけだよなぁ、と無趣味なかかしは思います。

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