« ドウガネブイブイ | トップページ | ニジュウヤホシテントウ »

2011年7月27日 (水)

CAMPHOR

0722_1camphor 2011.7.22
ここは大田区民プラザの前。
レストランの宣伝をするわけではありません。
右はレストラン「たんぽぽ」ですね。
左にはなにやらレストランのメニューがのった台があります。
問題は、その支柱。
緑の木のデザインがあって、「CAMPHOR」と書いてありますね。
聞くところによると「きゃんふあ」と読ませるらしい。

大田区の区の木は「クスノキ」です。
クスノキは英語なら camphor tree でしょうね。
camphor だけだと樟脳になっちゃう気がしますがね。「レストラン樟脳」なんかな。
ま、区の木にちなんだ命名だとは思います。

ところで、まだ理科おじさんになってませんね。
「カンフル」とくれば、おっ、と思いませんか。

カンフル【kampherオランダ・camphorイギリス】
精製樟脳。防腐・防臭剤として用いるほか、大脳の運動野、呼吸中枢、血管運動中枢を刺激し、またその体内での酸化代謝産物に心臓の収縮力を増大させる作用があるので、呼吸循環の興奮剤として一時ひろく使用された。[広辞苑第五版]

カンフル‐ちゅうしゃ【―注射】
 カンフルの注射。強心作用を有するため、かつては重症の心不全・心衰弱患者の治療に多用された。
 比喩的に、普通の手段ではどうにもならなくなった物事を回復させる非常手段。[広辞苑第五版]

こうくれば、分かる方も多いでしょう。(いや若い人は知らないのかな。)

樟脳に少し化学的に手を加えて使うのではなかったかな。
しっかしまぁ、私もこのことを知った時には、樟脳を注射するの?あらっぽいなぁ、とびっくりしたものでした。心臓がびっくりしそうですね。

樟脳は化学的には環状ケトン。
IUPACの命名法による系統名は
1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン
化学になじむとこの名前を読んだだけで分子構造が分かり、分子構造からはこの名前だけが決まる(「uniqueに決まる」といいますが)のです。
「オン」というのを見て化学屋さんには「ああ、アルデヒドね」とわかるのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%9F%E8%84%B3
ここに構造式などあります。面倒くさいから解説しませんが興味がおありでしたらどうぞ。
{私の大学卒論研究がビシクロ[3,1,0]ヘキサンの合成でしたので、多少この辺りが見えるのです。}
高校3年生の有機化学でアルデヒドなどの話をする時によく、樟脳なんかも話しましたっけ。

今は使われなくなった古典的なプラスチック「セルロイド」。
硝酸セルロースと樟脳を練ったものでした。燃えやすくて危険でしたね。

樟脳船というのも面白かったですね。
水面を走り回るやつ。表面張力の話には欠かせないな。

ところで、樟脳はクスノキの枝や葉を細かくして「水蒸気蒸留」という方法で蒸留して得るのですが、「水蒸気蒸留」は花からエッセンシャル・オイルを得るのにも使います。話はいくらでも広がる。

クスノキの成分として含まれる訳ですが、なぜ樹木が殺虫成分をもつのか。
もちろん虫やダニを寄せ付けないようにということですね。
で、その、樟脳入りの葉を食草にしているアオスジアゲハというのは一体どういう消化能力をもつのか?解毒力があるのかな?
殺虫剤入りのエサを食う幼虫というのも不思議なものですねぇ。
おそらく、他の昆虫はクスノキを食草にできなくって、生態的にそこが「空いて」いたんですね。で、そのすきまに、解毒能力か何かを獲得して入り込んだのがアオスジアゲハ。
すごいですね。

◆またとんで
insecticide=殺虫剤
genocide  =民族皆殺し(人種・国民などの根絶を目的とする計画的な大虐殺)
suicide     =自殺;自滅;自殺者
homicide  =殺人(者)

さて、こう並ぶと「-cide」の意味は「殺す」ですね。じゃあ
phytoncide
は?
「phyto」というのは「植物」のことです。
そうすると「植物殺し」?除草剤のようなもの?
いえ、日本語では「フィトンチッド」です。こういえば御存知でしょ。
ウィキペディアによると

フィトンチッド (phytoncide) とは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質。植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。
森林浴はこれに接して健康を維持する方法だが、健康だけでなく癒しや安らぎを与える効果もある。フィトンチッドはその殺菌性や森林の香りの成分であるということから良いイメージがあり、森林浴の効能を紹介する際に良く用いられている。

樹木が発する殺虫・殺菌剤なんですね。
植物は優しい、なんて暢気なことをいっていてはいけません。植物だって闘っている。
樟脳なんかはある意味でフィトンチッドの一種かもしれませんね。
たまたま大型哺乳類であるヒトには害がなく、なんとなく気持ちいいので流行ってしまいましたが、「植物の武器」なのです。

◆話し始めると止まらなくなる。きちんと組み立てれば「授業」になりますね。
おまけ
0709_1aosuji1
樟脳入りの葉っぱはおいしいなぁ。



« ドウガネブイブイ | トップページ | ニジュウヤホシテントウ »

理科おじさん」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: CAMPHOR:

« ドウガネブイブイ | トップページ | ニジュウヤホシテントウ »

2023年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ