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2011年7月12日 (火)

牛生レバー

●7月6日に
牛生レバー禁止を検討 厚労省審議会、違反なら罰則も
こいうい記事が載りました。抜粋すると

 ・・・
 厚労省によると、生食用の衛生基準を設けた1998年当時は、食中毒の原因となる細菌のカンピロバクターは牛の腸管内にはいるが、肝臓の内部にはいないと考えられていた。このため、解体処理中に腸管が破裂するなどして、細菌が肝臓の表面に付着しないようにすれば、生で食べられるとしていた。
 ところが、2001~03年度に行われた厚労省研究班の調査で、肝臓の内部にもカンピロバクターがいることが判明した。腸管から胆嚢(たんのう)や胆管を通って、肝臓の内部に入り込んだとみられている。

こうです。これを読むと、肝臓の外側だけじゃなく内部にまで菌が入り込むのか、と思いますよね。

●また7月7日の解説記事では

 ◆牛レバー、生食のリスク Q&A
 Q 牛レバーにはどんな菌が潜んでいるの
 A カンピロバクターと腸管出血性大腸菌という細菌がいて食中毒を起こす可能性がある。肉が新鮮かどうかは関係ない。と畜場で処理された牛236頭を調べた厚労省の報告では、牛レバーのうちカンピロバクター汚染の割合は1割程度だった。胆嚢(たんのう)でカンピロバクターが増えて肝臓に逆流するため、肝臓内部にも細菌が入り込む。だから、牛肉のようにトリミングして表面を削り取っても、器具の衛生管理に気を配っても、内部の菌を排除できない。
 一方、腸管出血性大腸菌は牛の腸管にいて、と畜や食肉加工の際にレバーの表面に付く。ただ、レバー内部の汚染についてのデータが不足しているので、厚労省は調査した上でレバーの生食規制を検討する。
 ・・・

●ところで、体の内と外ってどう区別するんでしょう?
口から食道、胃、十二指腸・・・肛門とずっと管がつながってますよね。
口から胃カメラを入れることができる。肛門から大腸内視鏡を入れることができる。
つまり「消化管の内側」というものは体の外なんですね。
普段は「お腹の中」という感覚で「体内」のように思っていますが、実は体外です。
消化液を体外である消化管へ分泌し、アミノ酸や糖に分解してから、「体内」へ取り込むのですね。
消化管の中は体外ですから、いろんな菌類が共生していられるのです。「体内」に菌が入ったら「感染」になってしまう。

生物は体の「内と外」を厳しく峻別しています。細胞レベルでだって、細胞の「内」に雑多なものを「入れ」たりはしない。
ゾウリムシが食胞で食べ物を取り込む話は高校生物でもやりますね。細胞口で「外部をくるんで」食胞として取り込みます。取り込まれた「外部」に対して消化液の入った小胞を合体させます。これで危険な消化酵素を細胞内に野放しにせずに済む。さらに、水素イオンを汲みこんで酸性にし、消化酵素が働けるようにする。消化酵素が細胞内で働いたりしないように安全を図っているのですね。そうして分子レベルで細かくなったものを細胞「内」に吸収し、不要なものは再び細胞膜と合体させて細胞肛門から捨ててしまう。
こうなんです。

●さて、肝臓と胆管の関係を図で見てください。
メルクマニュアル家庭版からです
http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec10/ch133/ch133a.html

肝細胞でつくられた胆汁は、細胆管と呼ばれる管に流れこみます。細胆管は合流して左右の肝管をそれぞれ形成し、左右の肝管が合わさって総肝管となります。総肝管はさらに、胆嚢につながる胆嚢管と合流して総胆管を形成します。総胆管は小腸への入り口となるオディ括約筋の直前部分で、膵臓からの膵管と合流します。

総胆管は小腸に開口しています。つまり「外」に開く口ですから総胆管の内側も「外部」ですね。
もうこの先は辿りませんが、細胆管の壁までが「外」との仕切りなんです。
ですから、腸で繁殖した菌が場合によってそのままその生物の「外」をたどって、細胆管までたどり着けるんですよ。
その場所は、一見すると「肝臓の内部」なんですね。
肝臓の内部に入り込んだ「体外」というべきですか。

こういう関係にあるので、いくら清浄にレバーを切りだしたとしても排除できない可能性があるのですね。
肉=筋肉の場合は、これは体内のものですから、動物を解体するときに、腸を誤って切り開いて腸の内容物がくっついた、ということさえなければ、清浄なものです。菌はいないことになります。(寄生虫はまた別です)。

●昔、母の実家での「おもてなし」。「だまこもち」。
新米を炊いてつぶして団子にする(これを「だまける」といいます。だまけたもちですから「だまこもち」。これは私など子らも動員される)。
一方、叔母は庭を走っていた鶏を絞めて、毛をむしり血抜きをして解体する。たまにね、包丁の刃が腸を傷つけることがあるんですね。そうすると「くさい」。でもまぁ、よく洗って、可食部を全部とりだし、醤油味の鍋にします。骨からも出汁を取る。
よく煮て食べるので危険性はなかったのでしょうが、思えばすごいことでした。
おいしいのですよ、これが。出汁をとった骨までしゃぶりつくしたものな。
残酷なんていう感じはまるっきりありませんでしたね、なにせ、うまい食事の始まりなんだもの。命丸ごと食っちゃった。

話を戻して。
レバーを生で食べるのはやめましょう。火を通した方がいいです、やっぱり。魚じゃないんだから。

●肝臓ではないのですが、腎臓の話をおまけに。
もう話の流れから想像がつくと思いますが、おしっこを外へ流し出す尿管の内側は体の「外」です。
この尿管で菌が繁殖すれば尿道炎。
さかのぼって、膀胱までいけば膀胱炎。
さらにさかのぼって、腎臓に入り込めば腎盂腎炎。

ね、菌は体の「外」をさかのぼっていくことができるということですね。
腎盂炎というと腎臓という臓器の内部の炎症のようですが、生物体の「内と外」という見方からすると、「外」なんですね。

●もうひとつおまけに。
生物の体の「内」には、原則として、自分が作った物質しか存在しません。
その素材が必要だから食べ、消化し、素材分子にして吸収して、自分の体の遺伝子からつくった酵素でもって、素材を組み立てて体を作り維持していく。

コラーゲン食べても、アミノ酸として吸収されるだけで、肌の内側へ運ばれることはありません。{肌に塗ると、洗濯糊のようなもので、肌がピンとするでしょうけれど。}

「脳内核酸」とかいってますが、全くの無駄。
すべての細胞は核酸を持っています。食品も細胞でできていますから、食品を食べると、細胞を食べることになり、消化し、素材として吸収し、自分の核酸を作るのです。
もし本当に核酸が減っているとしたら、きっともうその人は「仏様」なんですよ。
すべての細胞の中に、自前の核酸がある。それが生きているということです。
無駄な出費をなさらないように。

「野菜酵素」というのも無駄な出費。
他の生物の酵素が、体の「内」にはいったら、免疫システムが始動して排除します。
自分が使う酵素はすべて自前で作ります。
食べた酵素はアミノ酸になるだけ。
無駄な出費をなさらないように。

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