夏至の日の影
昨日、気温の新平年値の話を書いた時に、冒頭で夏至の話もしました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-ca05.html
ここで
「春分点から90度進みました。東京の場合、南中高度が78度にもなり、ほとんど頭の真上から照りつけられている感じになります。冬至のころには32度と傾いていますから、陽射しが全然違いますね。」
こう書きました。
NHKの夜の7時のニュースを見ていたら、夏至の話題として、東京スカイツリーの影の長さの話をしていました。正確に記憶してはいませんが、「影の長さが約100m」と言っていました。
スカイツリーの高さは634mですが、影として映るのは、どのくらいでしょう、めんどくさいから、600mで考えてみます。(アンテナ部分とかは影としては見えないでしょう)。
ここで次の図をご覧ください。(図は正確ではなく、縦長の三角形というだけの図です。)
ACがスカイツリーの高さですね。⇒約600m
BCが影の長さ。 ⇒約100m
三角比(三角関数)で、タンジェントというのは多分習いました。
図中にあるように、∠ABC=θのタンジェントはCA/BCです。
実はアークタンジェントというタンジェントの逆関数がありまして、CA/BCが分かるとθが求まるという関数です。
これを使ってみましょう。
CA/BC=600/100=6
ですね。
アークタンジェント(6)≒81度
です。(関数電卓でアークタンジェントのあるものならすぐに計算できます)
ほら、「南中高度が78度」でしょ。
よく一致しているといえます。なにせ、使った数値が全部「約」なんですから。
「80度と80度」よくあってますよ。
そして、逆に、ヘリコプターから撮影したスカイツリーの影から、地図と引き合わせたんでしょうね、影の長さを約100mと見積もったスタッフの見積もりの正確さが評価できます。
適当に「まぁ、100mくらいといっておけばいいや」ではなかったのですね。ちゃんと、見積もり作業をやったと思われます。
◆では私も
2011.6.22
これは多摩川線の線路の柵です。
撮影は12時40分頃ですので、南中時刻(11:42)を約1時間過ぎています。
(ということは、南中時より少し影が伸びてきている、という意味です。)
写真自体が斜めですが、この際、無視。
柵の棒の高さと影の長さを物差しで測ってみると、
(柵の長さ/影の長さ)が4~5程度です。
アークタンジェント(4)=76度
アークタンジェント(5)=79度
約80度じゃん! おぉ、何ということでしょう!あってますね!!
あったりまえ。それが理科というものの楽しさなんです。
この大ざっぱな見積もりでも、これだけ楽しめる。理科って楽しいなぁ。
(理科おじさんとしての、理科の宣伝です)
◆追記
夏至の時の南中高度=90度 - 観測地点の緯度 + 23.4
冬至の時の南中高度=90度 - 観測地点の緯度 - 23.4
ごく簡単な考察で分かりますが、こういう関係があります。
「23.4」というのはお分かりと思いますが、地球の公転面に対する地軸の傾きですね。
東京が北緯35度として
夏至の時は 78度
冬至の時は 32度
くらいになりますね。
冬至の時には、30-60-90度の三角定規の尖った方・30度の角度くらいしか太陽の高さがないんですね。
覚えていたら、今度の冬至の時(12/22)に影の長さを測ってみましょう。
◆時計では、360度を60等分していますから、1分の角度が6度ですね。
すると、78度というのは、13目盛りぶんですから、
3時の方向を地面の水平面とすると、78度の角度というと2分のところですね。
「2分-中心-3時」という角度を見てください。夏至の太陽は頭の上から射すんですね。
冬至の時は約30度として
「2時-中心-3時」という角度が真昼の太陽の高さなのですね。
はぁ、こうやって考えてみると、ものすごい差です。
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