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2011年5月 5日 (木)

小沢昭一さんって、すごいな

朝日新聞の「ニッポンみんなで」という、今回の大震災に関する著名な方々からのメッセージ連載がありました。4月24日の記事は小沢昭一さん。

(ニッポンみんなで)シブトク立ち直って 小沢昭一さんエール(朝日新聞 2011年4月24日)
 まず、今回の東日本大震災で被災なさった皆様に心からお見舞いを申し上げます。私は女房の親族に福島県出身が多く、彼女は戦時中、疎開で会津や浜通りを転々としましたから、ニュースで聞く土地の名前はなじみ深いものばかりのようです。
 ・・・
  私のような大年寄りには、今回の被災地の光景はどうしても広島の焦土や戦後の焼け跡の風景とダブりますが、あの悲惨な状況から立ち上がって復興を遂げた日本なんですから、今回も必ず立ち直れると信じます。
 ただ、ちょっと違うところもあります。
 敗戦後は日本中が「茫然自失(ぼうぜんじしつ)」の状態でした。昨日までの価値観が根底からひっくり返って、ただ「茫然」とするだけじゃなく、自分の存在の根拠さえ失った「自失」だったわけです。昨日まで「鬼畜米英」なんて言っていたのが、ガラリと変わってアメリカ礼賛の「民主主義」「自由」なんです。世の中、信じられなくなっちゃった。
 当時は「みんなで頑張ろう」なんてかけ声もなかった。みんな焼け跡で、今日を生きることで精いっぱい。てんでんバラバラに頑張るしかなかった。
 それまでの「一億一心」から、正反対の「てんでんバラバラ」。この「てんでん」というのは、個人一人ひとりの「自立」なんです。そのてんでんを深めよう、バラバラを深めようと、急に切り替わった。でも、バラバラの価値観をどう深めていくか。それは大変でも、そのために戦争という大きな犠牲を払ったわけですからね。
 戦後はみんなが何もかも失って貧しかった。でもその代わり「自由」なるものを味わって、これにすがりつこうと思い、みんなが希望を持った。
 「今日一日の食うものもない貧乏暮らしだけれど、今度こそ貧乏をバネに俺の好きな生き方をしよう」「大変だろうけど、やってみようじゃないか」と、一人ひとりが独立心を持った。後に私の唱えた「貧主主義」が芽生えるのです。

 だから今回、「一致協力」とか「絆」なんてことが強調されるのが実はちょっと心配なんであります。いつかまた、あの忌まわしい「一億一心」への逆戻りの道になりゃしないかと、そんな気がするんですね。だから私たちの世代には「絆」ってのはちょっと怖い言葉なんです。耳にタコで、こりごりしてる。でも若い人たちには初めての新鮮な言葉なんでしょう。いつの間にか意味がすり替わらないように、気をつけなくちゃいけませんよ

 東北の皆さんはみんな我慢強く、ねばり強い。それだけじゃなくて、実は底抜けに明るいユーモアの心もお持ちなんです。大変でしょうが、持ち前のたくましさでシブトク立ち直っていただきたいと祈っております。

「貧主主義」というのはいいですね。上昇志向にせっつかれて、欲望を肥大化させられて、欲望の暴走こそが「発展」だなんて吹きこまれて。ここまで走ってきて気づいてみれば、地球の危機になっていた。
人間の欲望には果てがないらしい。他のいきものにはない、愚、ですね。それをもって人間の英知のように思ってきましたね、私たち。

みんなが一斉にアッチを見る時は、敢えてソッチの方を向いてみましょうよ。
アッチ、コッチ、ソッチ、ドッチ・・・てんでんばらばらな方が健全ですよね。
危ないじゃないですか「みんなが一斉に」なんて。
みんな一斉に「がんばれ日本」「がんばれ東北」なんて。気が重い。

それって同情じゃないんですか。自分は離れた位置にいる、と思うから「がんばれ」なんて言っていられるんですよね。
同情は差別と表裏一体のものなんです。自分の立っている位置は離れているという安心感が「同情」を可能にするんです。安心して同情しているところへ、同情の対象が入り込んでくると、不安が生じる、そして「差別」を生む。
もう、そういう差別も実際に生じているじゃありませんか。

障害者差別やなんかもみんな同じ構造があるんですよ。
離れた岸から「同情」するけど、一緒になるのは嫌だ、で、来るなと「差別」する。

私自身は中学生の頃かなぁ、同情よりは敵対を!って言い始めたっけなぁ。同情は上から目線で相手を自分とは異なるもの低いものとして見ている。敵対は同じ地平に立って相手を認めるからこそ敵対になる。そんなこと言いましたっけね。

見方をあえてひっくり返してみませんか?
私たちはみなさんが生活を取り戻せるように、がんばります、絶対あきらめません。だから被災した皆さんはゆっくりじっくり着実に歩んでください、あせることはない、私たちは皆さんを支えるために必死でがんばります。
って。がんばらなきゃならないのは、どっちですか?

みんなが心を一つにしようって、美しい話のように思っていたら、いつの間にか権力によってすり替えられて妙な方向へ一斉に走り出した、なんてことのないように。
敢えて、逆らって、へそ曲げましょうよ。
言いたいし言わなければならないことではあるけれど、今の空気の中で言いにくいことを、敢えて言って下さった、小沢昭一さんに感謝します。

そして、なんにせよ、シブトク生きていきたいと、改めて思う次第です。

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