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2011年4月19日 (火)

誘発地震

●16日に蒲田の書店へ散歩に行き、帰りの電車でのこと。駅でもないところで停車してしまいました。多摩川線全線に停車指令が出ました、というような内容のアナウンスを運転手さんが車内放送しました。理由はよく聞き取れませんでした、言ったかなぁ。
帰りがけにトイレによって、小用を済ませて来たばかりだったので、1時間や2時間止まっても大丈夫だぞ、でも線路に降りることになったら一苦労だなぁ、などと下らないことを考えていたら5分くらいで運転再開。無事すぐに帰宅できました。妻が言うにはすごい余震だったわねぇ、ナルホドそれで止まったんだ。とやっと理解した次第です。

●余震が止まりません。
厳密には余震と誘発地震が入り混じっているようです。

 ◆キーワード
 <余震と誘発地震> 本震で岩盤が不安定になり、余震が起こる。狭い意味では、本震の震源域で起きる地震を指す。本震によって周辺にひずみがしわ寄せされ、離れた場所で起きるのが「誘発地震」。広い意味ではこれも余震と呼ぶ。
朝日新聞 2011年4月17日

ここにある「本震によって周辺にひずみがしわ寄せされ」ということなのですが、イメージをたとえ話でお伝えしたいと思います。

<たとえ話>
テーブルに、テーブルクロスを広げました。そうしたら真ん中辺に大きな皺が一本出来てしまいました。
やぁねぇ、と手のひらで皺の真ん中あたりをおさえて平らにしました。
その部分はそれで平らになったのですが、皺の両端ではかえって皺が小さいけれど高くなってしまいました。あらまぁ、と手のひらを滑らせて皺を伸ばす、すると皺が逃げていきます。なかなか全部が平らにはならない。

これがそのたとえ話です。
最初の大きな皺が、地震の本震を起こす歪み。
この歪みに耐えられなくなって、ズズッと滑りが起きて本震になった。
それでこの部分の歪みは大部分消えた。(消え残った部分が、後から歪み解消で滑って動くのが「余震」)
ところが、本震を起こした歪みが消えたために、その周辺の歪みがかえってきつくなったりして地震が起きやすくなる。
これが誘発地震。
まさしく「皺」が「寄せられた」とイメージして下さい。「しわよせ」です。

●関連した記事

 M9・0の東日本大震災の影響で、内陸部の活断層でも力のかかり具合が変化して地震が起きやすくなっていると見られ、動く確率が低いとされてきた活断層にも警戒が必要だと、専門家は指摘している。(2011年4月16日15時52分  読売新聞)

気象庁は「大震災で東日本の地盤にかかる力が大きく変化し、様々なタイプの地震が起こりやすくなっている。今後もM7クラスに注意が必要」と警戒を呼びかけている。(2011年4月12日13時17分  読売新聞)

 誘発地震は、地震を繰り返してきた断層の周辺や、地質構造が弱い火山の周辺に目立つ。巨大地震によって、地殻のひずみがしわ寄せされたり、地震波が伝わったりする影響で起こると考えられる。
・・・
 東大地震研の小原一成教授は、房総沖の地震活動に注目する。「ひずみを解消するための地震後の地殻変動が、新たなひずみを生み、新しい破壊が起きる可能性もある」と話す。
 04年のスマトラ沖地震(M9・1)では、3カ月後に隣接する場所でM8・6の地震が起きた。
・・・(朝日新聞 2011年4月17日)

●私がこのことを知ったのは、トルコの大地震に関する日経サイエンスの記事だったと記憶します。
日経サイエンス 2003年4月号の記事「予知への新しい手がかり 地震連鎖のメカニズム」がpdfで購入できるようです。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0304/quake.html
ウェブ上で公開されている部分を引用します。

 次の大規模地震は世界のどこでいつ起こるのか――。それを予知することは地震研究者にとって長年の夢だった。1990年代初めまでは,地震の原因となる断層運動は非常に複雑であり,史上最大級の地震でも何の前ぶれもなくいきなり発生し,予測はできないと結論づけるしかなかった。大地震が起こり,それに続く余震が収まれば,一般に数百年から数千年かけて地殻に応力が蓄積するまで,断層は静穏化した状態を保つ。多くの地震学者は今でもそう考えている。
 しかし,最新の発見によってこの前提が覆り始めている。従来の予想と違って,地震は相互に影響し合っているというのだ。いったん大地震が起こると蓄積した応力が解放されるため,次の大地震が発生する確率は低くなると考えられている。これに対して新説では,震源となった断層の別の場所や近くの断層で,地震発生確率が実際には3倍に高まることもある。救助部隊を配置したり保険料を設定したりする必要に迫られたとき,被害を受けやすい場所はどこかを見定めるうえで,こうした精度の高い予測は欠かせなくなるだろう。
 この新しい仮説は「ストレストリガリング(応力誘発)説」と呼ばれる。その核心にあるのは,隣接する断層の変動や地震動によって生じるわずかな応力の変化に,意外にも断層は敏感に反応するという新たな事実だ。これまでの地震記録や断層運動に関する計算結果から,次のようなことがわかった。地震によって解放される応力は消えてしまうわけではなく,震源断層から周辺の地域に再分配され,その後も集積したままとなるのだ。
 こうした応力の急激な増加によって,次の地震が起こりやすくなる。さらに1992年から20あまりの断層を調べた結果,自動車タイヤを膨らませるのに必要な空気圧の1/8ほどの応力が増えただけでも,地震が誘発される可能性があると考えられるようになった。
 これまでは,大地震の間にこうした微妙な相関関係が存在するとは誰も考えておらず,地震予知に役立てようという発想もなかった。だから,新たな地震予知の手法として受け入れることに懐疑的な科学者が多かったのも無理はない。しかし,カリフォルニア州や日本,トルコで,大地震の後に続いて起こった地震の発生地点やその頻度をうまく説明できたことから,応力誘発説への信頼が高まっている。
 地震災害に対して精度の高い警報を発信したい――。この願いを実現するために,私たちは地震の相互作用の解明に取り組んでいる。

キーワード:余震/断層/クーロン応力/大森の公式/応力転移/トグル地震活動/ストレストリガリング説(応力誘発説)/すべり速度・状態依存摩擦構成法則(摩擦法則)
著者      Ross S. Stein
スタインは地球物理学者で,カリフォルニア州メンローパークにある米国地質調査所(USGS)の地震災害部門に所属している。1980年にスタンフォード大学でPh.D.を取得後,コロンビア大学のポスドク(博士研究員)を経て,1981年に地質調査所に入所した。米国海外災害援助局(OFDA)など政府機関や欧州の再保険会社であるスイスリー社といった民間企業から資金供給を受け,地震災害査定法の精度向上に努めてきた。この記事で取り上げた研究に対して,USGSから2000年にユージン・M・シューメーカー賞を贈られた。2001年には,米国地球物理学会の年次総会での講演「地球物理学の最前線」の中で研究成果を発表。CATVや衛星放送で放映されるラーニングチャンネルの「トルコ大地震」などのドキュメンタリー番組にも出演した。

●私たちは今現在3月11日の地震の余震と誘発地震が頻発する中にいます。
緊急地震速報は多少精度が落ちているという話ですが、信頼できます。
速報があったのに大した地震じゃなかった、などと「狼少年」心理に陥らないでください。
一つ一つの地震に、丹念に冷静に、自分自身を客観化しながら対応して下さい。
それしか打つべき手はないのですから。
みなさんよろしく。

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