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2011年4月18日 (月)

周波数

●3月15日に「計画停電」という記事を書きました。その中で私はこんなことを書きました。

・・・
需要に対して電力を不足させるわけにはいかない、作り過ぎても貯えられない。
上のたとえ話の、水平でも上り下りでも、一定のスピードで走り続けなければならない自動車と同じような状況なのです。
自動車のたとえ話では、上り坂にさしかかるとエンジンに負荷がかかって、回転数が落ちますね。で回転数を上げるためにアクセルを踏んだ。
発電所ではどうなのか。ものすごく簡単化してしまうと、同じこと。
電力需要が増えると、その負荷が発電機にかかって、回転数が落ちるのです。
発電機の回転数が落ちないようにするには、タービンに送り込む水蒸気の量を増やすしかない。火力発電でも原子力発電でも。
ある意味で、アクセルを踏むんですね。
電力需要が減ったら、そのままだと発電機の回転数が上がってしまいますから、発電機に送り込む水蒸気のエネルギーを減らすしかない。
こうやって、発電機にかかる負荷を監視しながら、1秒間に50回という回転を維持し続けるというのが発電所の使命なのです。
たとえ話にあったように、ゆとりがあれば問題はない。ところが発電機の能力の限界近くで運転している時に負荷が増えると、もうフォローできなくなってしまいます。発電機の回転数が維持できず、電圧が落ちます。
・・・

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-8bcc.html  から。

●さて、4月9日の毎日新聞にこんな記事を見つけました。

福島第1原発:鉄鋼メーカー、自前火力発電で供給に貢献 
 ・・・(前略)
 「おかしいぞ」。JFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市中央区)の藤井エネルギー部長らは震災発生の直後、異変に気づいた。大きな揺れは収まったが、送電線を流れる電気の周波数が通常の50ヘルツから49ヘルツに下がっていた。東電が無傷の発電所をフル稼働させるまでの数分間、低下が続いた。
 「07年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止した時も周波数の低下はあったが、わずか数秒だった。大規模な電力不足が起きているとすぐにわかった
 工場内には、自前の火力発電所が二つある。一方は製鉄工程に電力を供給し、もう一方は東電に電気を売る「売電」専用。同社は「電力卸売事業者」でもある。売電用は普段、平日の日中12時間のみ動かしている。
 異常を察知した藤井さんらは即座に「売電量を3倍に増やす」と東電に申し入れ、震災の日の夜には了解を得て休日を含め24時間フル稼働させることにした。各部門の社員を再編成して売電部門の人員を25%増やし、3交代の勤務シフトを作成。設備がフル稼働に耐えられるかどうか確認したうえで、翌12日昼から現在まで能力の限界に近い38万キロワットの電力を供給し続けている。
 ・・・(後略)
毎日新聞 2011年4月9日 13時42分(最終更新 4月9日 14時35分)

いかがでしょうか?
原発が停止し、バックアップの発電所が稼働するまでの間、電力需要の負荷が発電能力を越えたんですね。その負荷に耐えきれず、発電機の回転数が落ちてしまったということなのです。発電機の回転数=周波数ですので、1秒間に50回転しなければならないところを、負荷のせいで1秒間に49回転に落ちてしまったのですね。
実際にこういうことが起こるということはもっと知られていいですね。
新聞記事になったのを見るのは私も初めてでした。

●ところで、この50Hz(西では60Hz)は非常に高い精度で維持されていますので、時計に使えるのです。
私は昔ソニーの通称「パタパタ時計」を使っていました。シンクロナスモーターというモーターで50Hzに同期して表示のプラスチック板をパタパタと回していました。
これが壊れて、やはりソニーの電源同期型目覚まし時計を買って、以来20年以上でしょうか、故障もなく使っています。
これは、交流の周波数50Hzをカウントして秒を生成しているようです。
http://www6.atpages.jp/omat/radio/denpatester.html
↑このサイトによりますと

さて、電源周波数同期式交流時計は嘗てはモータ式や電子回路式など色々と発売されていましたが、現在はデジタルLED表示のものが数機種しかないようです。交流時計は数秒オーダーで進んだり遅れたりを繰り返しますので、電波時計のように常にキッチリと秒まで正確というわけではありませんが、自分の経験上、数ヶ月のスパンでも±10秒以内の誤差に収まっていることが殆どで、クオーツ時計のようにある一定の割合で誤差が発生して(特に電波時計はクオーツ精度のみで使用することを前提としていないので、電波受信機能のない時計よりもクオーツ精度は悪いです)、気が付いたら数分も狂っていたなどということがないので、細かいことを気にしなければ時間合わせの手間いらずで非常に便利だと思います。これは、交流電気時計自体が高精度に作られているということではなく、電源周波数が非常に正確に管理されているのでそれに同期する時計も結果的に正確になるというわけです。しかし、交流式の難点は停電があると時間がリセットされてしまうことと、時計用にコンセントが一つ占有されてしまうことで、何処にでも持っていける電池式とは違って使い勝手は多少悪くなります。

文中にもありますが、落雷などで停電があるとリセットされてしまいますが、そう頻繁に起こることではなし、気にはしていません。長い間、実に安定しています。発電所の周波数管理ってすごいんだなぁ、と感心しておりました。

今回の大地震の後しばらく、この目覚まし時計が不安定になっている感じはしました。
停電対策として、携帯電話の目覚まし機能と並行して使っていましたが、目覚まし時計の鳴る時刻と、携帯のタイマーが鳴る時刻が、近づいたり遠くなったりしていました。
ひょっとして、交流電源の周波数が揺らいでいるのかな、とは思っておりました。

最近は二種の音の鳴る間隔は安定しているようです。
電力事情が安定しているという印ですね。
こんな所からも、電力事情や電力会社の仕事などが見えるものなのです。
理論を知るって、実に面白いものなんですよ。

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