前屈
2011.3.7付 朝日歌壇より
二つ折り携帯のごと一歳の子どもはしなやか前屈をする:(ひたちなか市)沢口なぎさ
前屈とはいっても、大人の前屈とはまるっきり違いますよね。完全に二つ折り。まさしく携帯電話です。あれまぁ、ですね。
★作者の歌は以前から拝見してきましたので、子育て関係を検索してみました。
2009/07/27
こうのとり娘をつれてくる途中おやつをあげすぎてはいませんか
高野公彦 評:葉書に「生後2か月」とある。さかんに母乳をほしがる赤ちゃんを、童話仕立てで歌ったのが面白い。
置くなよと言わんばかりに赤子の手ぎゅっとつかんだわき腹の肉
佐佐木幸綱 評:抱いている赤ちゃんの手が、脇腹をつかむように動いたというのだ。ユーモア感覚がうれしい。夏服ならではの感触。お母さんの歌か。
2009/08/03
他人の子がかわいくなったと夫いう親になるってそういうことかも
永田和宏 評:こちらは子を得て世界の見方が変わったという若い親の歌。夫の変化が妻にはうれしい。
2009/08/24
白いものしか摂ってない乳飲み子のうんちは黄色ちいさな宇宙
2009/12/21
ドライヤーの音におどろきちいさな肩ゆれるおすわりまだ不安定
2010/09/12
病気がちひきこもりがちが一歳のひ孫の麦茶走って買いに
2010/11/22
おしゃべりの練習「か」「か」「き」「き」「く」「く」ときて「け」はものいわず髪の毛さわる
成長の様子がくっきりと見えます。
あの猛烈な暑さの中、麦茶を冷まして飲まそうとひいおばあちゃんが走る。
いろいろ面白いことを喋る。かきく「毛」こ。
音としてのかきくけこに、意味を持つ「毛」を重ねることができる。すごい抽象化。あっけにとられますね。
赤ちゃんの抽象化能力・概念形成能力って、不可思議としか言いようがありません。
楽しい時代です。
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