事実判断と価値判断
昨日の朝日新聞夕刊です。
[コトバの記憶]「これは信念の問題ではない。客観的な状況判断の問題に過ぎない」加藤周一『羊の歌』(3/28)
評論家の故・加藤周一氏の自伝的著書には、彼の思考法を象徴するエピソードがいくつもある。
東大付属病院で働いていた時、日本軍の守る島に米軍が上陸したとのニュースをめぐり議論となる。「断乎敵を粉砕する」戸の報道に加藤氏が「そうはゆかないだろう、どうせまた米軍が占領するのだろう」とつぶやく。すると若い医師が「けしからぬではないですか」と怒った。
加藤氏は戦況から判断し「今度の上陸も、失敗の見通しよりは、成功の見通しが大きかろう」と説明する。なおも「必勝の信念」を持ちだす医師に対して、引用の言葉ではねつける。島の日本軍が「おそらく敗北するだろう」という判断と「敗北することが望ましい」というのは全く別のこと、というのだ。
狂気の時代にも、事実判断と価値判断の区別を貫いていた冷静さに学びたい。岩波新書。
前の記事の終わりで私はこんなことを書いています。
{別に東電や保安院の肩を持っているのではありません、為念。}
私の判断です。
私は気にしない、と表明している、ということです。
今回の原発事故で、いろいろ「解説めいた」ことをブログに書いていますが、それは原子力発電を支持・推進するとかいう立場の表明ではありません。
私は過去一貫して、原子力発電に対して懐疑的な立場で教壇に立ってきました。
なにも、生徒に「反対!」のように押しつけたのではありません。
公平、公正に、色々な事実を提示しながら、懐疑を表明してきました。
今回もそうなのでして、原子力に関する知識不足から不必要な恐怖感を生じたり、衝動的な行動に走ったりなさらないように、多少は知識を持っているものとして解説を試みているものです。
私の事実判断を提示することが基本です。
そのように理解して下さい。
価値判断を書くことは今は差し控えます。
そして、繰り返しになりますが、多少なりとも知識を獲得していただくことで冷静な事実判断を皆さん自身ができるようになるための足しになれたらいいな、と思っています。
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