存へて
2011.2.28付 朝日俳壇より
存へて喉の仏へ春の水:(堺市)奥村英忠
長谷川櫂評:いつものように水をのむだけのことも、こういえば詩になる。はやくも灌仏のけはい。
恥ずかしながら「存へて」が読めなくて、苦労しました。
やっと思い至って「ながらえる」で広辞苑をひいたら出てきました。よかった。
ながら・える【存える・永らえる】ナガラヘル
自下一 ながら・ふ(下二)
①生きて永くこの世に居る。長生きする。古今和歌集賀「とにもかくにも―・へて」。「命―・える」
②長続きする。源氏物語帚木「―・ふべきものとしも思ひ給へざりしかど」
[広辞苑第五版]
「喉の仏」とは「喉仏」ですよね。
のど‐ぼとけ【喉仏】
喉の中間にある甲状軟骨の突起した所。のどぼね。喉頭隆起。西洋では「アダムのりんご」という。[広辞苑第五版]
これは、男性の首のところを外から見てみえるもの。軟骨ですね。
でね、評を呼んでいて、灌仏ということばが目に入って、
かんぶつ‐え【灌仏会】クワン エ
4月8日に釈尊の降誕を祝して行う法会。花で飾った小堂(花御堂ハナミドウ)を作り、水盤に釈尊の像(誕生仏)を安置し、参詣者は小柄杓で甘茶(正しくは5種の香水)を釈尊像の頭上にそそぎ、また持ち帰って飲む。日本には中国から伝わり606年元興寺で行われたのを最初とし寺院・宮廷・民間の行事として広まる。降誕会。仏生会。竜華会。花祭。<季語:春>[広辞苑第五版]
このことは分かるんですが、なんだか、骨揚げの時の「喉仏」を思い出してしまって。
そうなるとこれは頸椎という骨ですね。私も、近しい人の骨揚げを何度かしておりますのでその姿は知っている。
春の水を飲んで潤ったのは、さてどっちの「のどぼとけ」であろうかと、二重写しにイメージが湧くのであります。
今度、水を飲むときは、どっちかな?と意識してみませんか?
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