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2011年2月 1日 (火)

長斧

2011.1.31付 朝日歌壇より
今年から長斧(ちょうな)始めは若棟梁まず一礼す桧丸太に:(渋川市)蓼科麟太郎

代替わりですね。長年の棟梁が、成長した息子かな、に棟梁の地位を譲って、誇らしげに長斧始めを見る側に回っている。そういう、シーンでしょうか。善哉善哉。

ちょうな【手斧】
(テヲノがテウノと転じ、さらに訛ったもの) 大工道具の一。平鑿ヒラノミを大きくしたような身に、直角に柄をつけた鍬形の斧。斧で削った後を平らにするのに用いる。ちょんな。
ちょうな‐はじめ【手斧初め】テウナ
①新年に大工が初めて仕事をする日の儀式。
②大工が家の建築にとりかかった初めの日に行う儀式。こづくりはじめ。おのはじめ。
[広辞苑第五版]

広辞苑では「手斧」が使われていました。
竹中工務店のサイトを見に行ったら、「釿」の字が使われていました。
http://www.takenaka.co.jp/daiku/chona/index.html

釿始め
釿は儀式にも用いられています。釿始め(ちょうなはじめ)と呼ばれる儀式は、起工式で行われる場合と新年の仕事始に行われる場合とがあります。
どちらも、曲尺と墨さしで式材に寸法を取り、墨壷で線を引き、釿で材木にはつるという一連の所作を神前に奉納し、工事の安全成就を祈願します。

こうして見ると、上掲の歌のちょうな始めは、おそらく新年の仕事始めですね。
一種の神事です。ですから、桧丸太に「おごそかに」一礼したのでしょう。

あの「ちょうな」という道具、危なっかしい道具でね、私には絶対使えません。確実に足を切りますね。ノコでもノミでも少しは使えますが、ちょうなは危ないよ。

ところで、「墨壷」ね、なつかしい。あれ面白くってねぇ、大工さんの仕事を飽きずに眺めたものです。壷から糸を引き出して、ピンと張って、ちょっと持ち上げてパチっとはじくと直線が描かれている。あんな優れた道具はそうざらにはないですね。
直線を描く、といったら普通は定規でしょ。糸を引っ張ったら直線になる、絶対曲線にはならない、というのは、当たり前のようでいて実際に道具として考案して使いこなすというのはすごいことです。

現代に、ちょっと変わった墨壷が生きているのをご存知ですか?
道路に白いペイントで歩道とか車線とか引くでしょ、あの時に墨壷の子孫が使われているんですよ。初めて見た時は感動してしまった。
白い粉の入った袋を通して、太めの糸を引き出すんですね。で、道路上でぴんと張っておいて、パチッとはじくと、一瞬で道路に真っすぐな線が描かれるんですね。それをなぞって、ローラーにペイントをつけて白線を引く。
あれは嬉しかった。こんな所に生きてるのか、と。
余談でした。

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