雪浄土
2011.1.31付 朝日俳壇より
往きは漕ぎ還りは泳ぎ雪浄土:(さいたま市)川辺了
稲畑汀子評:大雪が降り積もった町である。そこまで出かけるのにも難渋する。「往きは漕ぎ還りは泳ぎ」という表現が、臨場感を見事に伝えてくれる。
時間の経過を表してはいないか、と思うのですが。
行きは「漕ぐ」程度だったのが、帰りは更に降り積もり、「泳ぐ」ようにしか進めなかった、と。
短い滞在の間に、こんなに積もってしまった、という慨嘆と驚きも含めて。
この句での「漕ぐ」は、山の用語での「ラッセル」でしょうか。
ラッセル【russel】
(除雪装置を発明・創製した会社名による)
①ラッセル車の略。
②(登山用語) 深雪の際、身体で道をひらきながら進むこと。こ・ぐ【漕ぐ】 他五
①櫓や櫂カイなどで船を進める。万葉集1「玉藻刈る沖へは―・がじ」。平家物語12「汀―・ぐ船は波に揺られ」。「櫓を―・ぐ」「船を―・ぐ」(居眠りをする)
②深い雪や泥の中などをかきわけるようにして進む。義経記5「雪をば深く―・ぎたり」
③自転車やぶらんこなどを足を屈伸させて動かす。「自転車を―・ぐ」
ラッセルでは済まなくなって、雪の中を泳いで帰るというのは、いったいどんな積雪なのか。
想像に余ります。
私は雪・氷が完璧にダメ。
「またぐ」という動作は私にはない。
「すべる」という状況に対応する能力もない。
雪国には住むことのできない「身体」です。
雪国の障害者の方々、どうか、ご無事で。
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