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2011年1月26日 (水)

牛殺し鶏も殺す

2011.1.24付 朝日俳壇より
牛殺し鶏も殺すか去年今年:(福津市)松崎佐
 金子兜太評:昨年は殊に牛や鶏のご難の年で惨酷極まりない。殺さない方法はないのか。

鳥の方はまだ知りませんが、牛の口蹄疫については殺さなくてすむ方法があるんですよ。

[論説委員室から 窓]生かすワクチン(朝日新聞 2010/11/29)
 宮崎で発生し、甚大な被害をもたらした家畜伝染病の口蹄疫。29万頭もの大量の家畜の殺処分をした日本の対応に「どうする・どうなる口蹄疫」(岩波書店)で厳しい批判の目が向けられている。
 著者は家畜伝染病対策の国際組織、国際獣疫事務局(OIE)の学術顧問を務める山内一也(やまのうちかずや)・東大名誉教授(79)。
 宮崎では感染拡大を抑えるため、健康な家畜にワクチンを接種し、その後に殺処分された。だが、欧米ではワクチン接種しても殺さなくて済むように、「殺すためのワクチン」から「生かすためのワクチン」に方向転換したという。
 きっかけは600万頭もの羊や牛が殺処分となった2001年の英国での大発生だ。抗体が自然感染によるものか、ワクチン接種によるものかが判別できるマーカーワクチンが実用化された。
 今夏、東京であった国際ワークショップで農林水産省の担当者が日本の対応策を発表後、座長を務める海外研究員が真っ先に質問した。「なぜ発生直後からワクチン接種をしなかったのか」
 実は宮崎で牛に接種されたのもマーカーワクチンだったが、抗体を識別する検査は行われないまま殺処分された。「欧州での研究の進展を生かした対策が実行されていれば、ワクチン接種牛の大部分は生かすことができた可能性がある」と山内さんは指摘する。
 欧州の事例を真正面から「他山の石」とし、日本が万全の備えをしていたならと惜しまれてならない。

ワクチンを接種して流行を食い止める。でも、抗体がワクチンでできたのか感染でできたのかわからないから、全部殺処分にする、という論理でしたね。
ところが上に引用したように、ワクチンでできた抗体か、感染でできた抗体かが識別できるようなワクチンが既にあるんですね。しかも、それを使っていながら殺したんですね。
動物が好きで、動物を生かすことを仕事にしているはずの獣医さんが牛を殺す最前線に立った。心的な障害をくらったのではないでしょうか。泣きながら殺したんじゃないでしょうか。辛すぎる。

上の記事に引用されている「どうする・どうなる口蹄疫」は岩波科学ライブラリーの175という本でして、2010.10.26発行、定価1200円という買い求めやすい本です。
私は入手して読みました。関心のある方はどうぞ。

●鳥インフルエンザに関しての知見は私にはありません。
ただ、ツルなどの野鳥がインフルエンザに感染しても、その場の鳥全部が死ぬわけではないですね。感染しながら免疫をつくって生き延びていくのでしょう。体の弱った個体、年齢の高い個体などが感染して死ぬのでしょうが、生き延びるやつもたくさんいる。それが遺伝的な多様性ということでしょう。決して全滅はしない。そうやって、人間の歴史を越える長さを生き延びてきているのです。
ところが、養鶏場では、自然界では絶対にあり得ない高密度で飼育され、遺伝的な系統もおそらくシンプルなものでしょう。肉や卵の質だけにこだわって選択されてきた品種なのではないでしょうか?ですから、ある個体が感染して死ぬとなると、おそらく全部が危険にさらされる。

言ってみれば、これはやはり、人間のせい、人間の身勝手のせいなのです。

人災。なのです。

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