小波
2011.1.10付 朝日歌壇より
野の川に白く光りて冬日ありかすかな風にも小波拾ひて:(西条市)亀井克礼
永田和宏評:端正な自然詠の良さ。微妙な動きを捕えた下句の繊細な視線がいい。
日の傾き具合がちょうどよくて、川面に立つ小さな波も新たなきらめきを発しているのでしょう。その繊細なきらめきが風を可視化する。こまやかな表現ですね。
高野公彦氏の選で次のような歌もありました。
元荒川皺なく流れ光りおり今日も株価は値下がり止まず:(蓮田市)青木伸司
下句の方は私にはあまり関心がないのですが、上句で水面の描写があります。
こちらは、「皺」のような小波もない油を流したような水面なのでしょう。時間がゆったりと流れているような気配です。
どちらも見事な描写と感じ入りました。
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