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2011年1月21日 (金)

メタノール事故

前の記事で、レチノールという分子をレチナールという分子に酸化して視覚に使うという話をしました。
一般的な形で書くとこうなります。
Oxidation1
Rと書いたところは炭化水素の鎖です。
端に-OHがあると「アルコール」です。
この-OHのHと炭素についているHを引きぬくと右のアルデヒドになります。
水素を引きぬくことは酸化です。で、この反応をする酵素は「アルコール脱水素酵素」といいます。
お酒のアルコールは、Rのところが「CH-」のエタノールです。
お酒を飲むと肝臓でエタノールに脱水素酵素が働いて、アセトアルデヒドに変えます。これは有毒ですが、すぐ死ぬというほどでもない。で、飲み過ぎるとアセトアルデヒドがたまって「二日酔い」になります。二日酔いのおじさんの息が臭い、熟柿臭とよくいいますが、あれがアセトアルデヒドです。
アセトアルデヒドは更に酸化されて酢酸になり、更に酸化されて二酸化炭素と水になって消えてゆくわけです。

さて、間違ってRが「H」であるようなメタノールを飲むとどうなるでしょう。
やはりアルコール脱水素酵素が働きます。
Oxidation2
すると、ホルムアルデヒドが出来てしまうのですね。
ホルムアルデヒドの毒性は強い。
ですから、メタノールを飲むと中毒しますが、その毒性のメインはこのホルムアルデヒドなんです。

さらに、前の記事での話を思い出して下さい。目の網膜ではレチノールというアルコール分子をレチナールというアルデヒドに変えて視覚に利用しているのでした。ですから、網膜にはアルコール脱水素酵素がいっぱいあるのです。
メタノールを飲むと、網膜のところで、アルコール脱水素酵素が働いてホルムアルデヒドという毒物にしてしまいますので、失明する、ということなのです。
メタノールを飲むと、失明する、ひどいときは死ぬ、というのはこういうことだったのですね。

北方領土・水晶島でメチル酒盛り、露の4人死亡(2011年1月5日 読売新聞)
 ロシア通信は5日、北方領土・歯舞群島の水晶島で先月31日夜、露水産加工会社に勤める現地駐在のロシア人23人が有毒のメチルアルコールを飲み、4人が死亡、15人が救急ヘリで国後島に搬送されたと報じた。
 同通信によると、社員らは年越しパーティーのために集まり、うち1人が持参した缶入りメチルアルコールを飲み、中毒症状になった。水晶島に定住者はいないとされるが、露国境警備隊員や水産加工会社の社員が交代で駐在している。

この後の報道はありません。命が助かっても失明したかもしれません。
心配ですね。

私のホームページでこのメタノール中毒や事故の話を書いてあります。
関心のある方はご覧ください。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/biology/chptr_1/1-1-3/redox/meth_tox.htm
これは「メタノールの毒性」

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/biology/chptr_1/1-1-3/methanol.htm
これは「メタノール事故」

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/biology/chptr_1/1-1-3/redox/redox.htm
これは「有機物における酸化還元反応」
についてです。

また
http://www.kiriya-chem.co.jp/q&a/q52.html
ここも、「ロドプシン」にくわしいサイトです。














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