ヒガンバナ
2011.1.4
現在のヒガンバナの姿。葉の緑がきれいです。
光合成をして、花に備えて栄養を蓄えているのでしょう。
ところで、日本のヒガンバナは球根で増えていて種をつけないのが原則になっていますが、これは生物としてはおかしなことです。
池田清彦 著「オスは生きてるムダなのか」角川選書 469
という本を読んでいましたら、こんな記述がありました。
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日本のヒガンバナは単為生殖をしており、そのうち滅びるのではないだろうか。中国から日本に輸入されて1000年余りしか経っていない。中国には有性生殖をする2nのヒガンバナがある。日本のヒガンバナは3nのクローンで、球根で増えていくから種をつけない。僕はあと数万年もしたら滅びるのではないかと思っている。
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(遺伝子に)損傷がたまったヒガンバナは、生まれてこないが、ほかにたくさんのヒガンバナがあるので、無傷の系列が保たれるのだろう。いつか種の種の全部がダメになるときがくるかもしれないが、それは確率の問題で、母集団の大きさともかかわりがあるため、そう簡単には滅びないのだろう。植物の場合は個体で1万年も生きるやつがいるから、クローンだとしても数万年の寿命は保つことが出来るのかもしれない。
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数万年後ヒガンバナは滅びるかもしれませんが、確実にいえることはその時人類はもう絶対にいない、ということでしょうね。
生物の歴史的な変化を考える時には、万、億の桁の年月を考える必要があります。
確かになぁ、そういう感覚で見たら、ヒガンバナが数万年後に滅びるとしても、あっという間の絶滅、ということなんですよね。
ところで、動物の方で、ゾウムシにはどういうわけか単為生殖だけで生き続けているものがいます。(アブラムシは単為生殖と有性生殖の両方をつかってますから、この話の外です。)
身近なところで、私のブログにもなんどか登場しましたが、スグリゾウムシ。
日本にはスグリゾウムシはメスしかいなくて、単為生殖で維持しているようなんですよ。
これも、生物学的な時間、万年、十万年、百万年という長さの中では滅びるんでしょうね。
遺伝子の多様性が生じてきませんものね。
これを知った時はちょっとショックだったな。
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