虚数
2010.12.6付 朝日歌壇より
虚数iみたいに「はい」と言うわたしまあるくおさめたほうがいいとき:(新潟市)太田千鶴子
先日12月3日の朝日新聞科学欄に
日本人の感情、顔より声に:「オランダは逆」両国で研究
というタイトルの記事がありました。
記事の内容は引用しませんが、感情を抑えて表情を笑顔にしておくのですね、日本人は。
上掲の歌では、表情はどうなったか分かりませんが、言葉の方を抑えられた。
その場を収めるために、言葉を抑えた。
その意味で「実がない」というイメージが「虚」を、ひいては「虚数」を、そして虚数単位は「i」ですから、言葉としての「あい=はい」に結び付けていった。
相当に、凝った言葉を組み立てられた、と感じ入りました。
そもそも、短歌を読んでいて虚数に出会うなんて珍しい。理数系の本ばかり読んでいる私には虚数は別に珍しくもないけれど、短歌では珍しい。
一瞬にして視線を捕えてしまいましたね。おみごとです。
◆江戸言葉でしょうか、「ai」という発音が「ee」になる。
「hai」→「hee」 はい→へぇ
「ai」→「ee」 あい→ええ
「daikon」→「deekon」 だいこん→でぇこん
「taihen」→「teehen」 親分大変だ→親分てぇへんだ
・・・
歌の内容とは関係はないのですが
i=あい はい へぇ
いろいろなイメージが頭の中に去来しました。
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