海鼠
2010.12.20付 朝日歌壇より
声あかきずわい売り子の間にゐて黙つて海鼠売る大男:(金沢市)前川久宜
ずわいガニの売り声が「あかい」というのが面白かった。
その「あかい」を、色の「赤い」ととっても面白い。「赤い声」という表現なら、かなりユニークな発想だ。
それとも「明い」でしょうか。
あか・し【明し】
形ク
(「赤し」と同源)
①光が十分にさしてかげりがない。あかるい。万葉集5「日月は―・しといへど」。源氏物語帚木「火―・くかかげなどして」。枕草子36「―・うなりて、人の声々し、日もさしいでぬべし」。日葡辞書「アカイウチニツク」
②心が清い。偽りがない。万葉集20「隠さはぬ―・き心を」
[広辞苑第五版]
すわいガニを売る場所は、にぎやかで華々しく「明るい」のでしょうね。売り子は女性を思わせる。
それと対比してナマコは、「暗い」「黒い」んだろうな。大男で。
そりゃ、あんまりナマコ売り場で、華やかな声は似合わないだろうなぁ。
対比が鮮明でイメージが目に浮かびます。
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