« 虚数 | トップページ | 冬のカマキリ »

2010年12月 7日 (火)

樹氷

2010.12.6付 朝日歌壇より
樹氷とふさんざめくもの静もるもの四十年後は無くなるといふ:(水戸市)檜山佳与子

朝日新聞でも記事になったらしいのですが、私自身は日経のサイトで読みました。

蔵王の樹氷、40年内に消滅? 温暖化の影響で、山形大  (2010/11/10)
 山形、宮城両県にまたがる蔵王連峰の冬の風物詩「樹氷」が、地球温暖化の影響で40年以内に姿を消す可能性があるとの研究結果を山形大の柳沢文孝教授(地球化学)らがまとめ10日、山形市で開かれた講演会で発表した。
 「アイスモンスター」とも呼ばれる樹氷は、針葉樹のアオモリトドマツに強風で吹き付けられた空気中の水分が凍り付き、その上に雪が付着してできる。
 柳沢教授らが大正~昭和初期の文献や写真などを基に調査したところ、樹氷は1965年まで標高1400メートル以上で観測されていた。その後観測できる地点の標高が上がり、現在は山頂に近い1600メートル付近にまで達しているという。
 樹氷が観測できる時期も1950年代までは12月だったが、現在は2月にずれ込んでいる。
 柳沢教授は、山頂付近の気温が約80年間で2度以上上昇したと推定。「このままのペースで温暖化が進めば40年以内に山頂の気温がさらに1度上がり、樹氷はなくなってしまう」と警鐘を鳴らした。

これは温暖化の影響、ということです。
更に、こんな記事もありました。

[晴れのち晴れ]減る樹氷、原因どこから:森田正光さん(2010/12/4 朝日新聞)
 温暖化の影響で、蔵王の樹氷が年々減って、ふもとから山頂に追いやられています。朝日新聞の記事によると、山形大学の柳沢文孝教授は「このままだと40年後には樹氷が消えてしまう可能性もある」と話しています。
 九州大学の竹村俊彦准教授は、温暖化の他に「黒色炭素(いわゆるスス)の増加も樹氷減少の一因ではないか」と推測しています。樹氷が出来るためには、0度以下でも凍らない過冷却水が大量に必要ですが、黒色炭素は過冷却水の増加を妨げ、結果として樹氷を出来にくくするのです。
 では、この黒色炭素はどこから来たのか。種々の状況から一番疑わしいのは西方から飛来する化石燃料の残りかすです。もどかしいのですが空に国境はなく、大気汚染の越境を確認することは出来ないのです。

「スス」の影響も指摘されているんですね。
「過冷却」というのは、清浄な状態で実現するものです。空気中の水蒸気がもう結晶になる温度なのに、結晶になる「核」がなくって結晶化できずそのまま気体でいる、というのが過冷却です。青空の上空で過冷却になっているところをジェット機が飛んで結晶化の核を蒔くと雲が出来て、飛行機雲になります。
雲の下でヨウ化銀の煙をあげたり、雲の中にドライアイスの粉を蒔いたりして、雨を降らせようという技術もありますね。北京オリンピックの時でしたっけ、話題にもなった。これも、過冷却状態を壊そうとしているのです。
「スス」があると、過冷却になりにくくなって、樹氷が出来なくなるわけです。

春先に、畑の雪をはやくとかすために、ひっくり返して土を出すと、色の黒い方が熱を吸収しやすいですから、はやくとけるんですね。
ススがあると、きっと氷が出来てもとけやすくなるでしょうね。

実はもっと前に、樹氷が汚染されている、という話もあったのです。

樹氷汚染 2007年01月18日 朝日新聞
季節風に中国の排出物 「酸性雨」懸念の声
 山形の冬の顔、蔵王の樹氷が、酸性雪の影響で汚染されていることが、柳沢文孝・山形大学理学部助教授(環境化学)の調べで分かった。樹氷を作る強い北西からの季節風が、中国で排出された汚染物質を運んで来るためだ。雪の酸性度も強くなっており、生態系への影響を懸念する声が出ている。
 柳沢助教授は94年から毎年、蔵王の樹氷を採取して、酸性の濃度を測定している。一般に、雨のpH値が5・6を切ると「酸性雨」と呼ばれる。観測を始めた当初、5・6だったpH値は、06年には4・6まで酸性化した。
 環境省が02~04年度、尾花沢市で観測した平均pH値の結果でも、4・81(02年度)、4・72(03年度)、4・65(04年度)と確実に酸性化が進んでいた。
 大規模な工業地帯のない山形で、雪の急激な酸性化が進んだのは、中国の影響が大きいことが、柳沢助教授の調査で分かった。樹氷に含まれていた硫酸イオンを分析したところ、中国東北部・山西省で生産されている石炭の成分と一致することを突き止めた。
 山西省は石炭やコークスの産地として知られる。また、省都の太原(タイユアン)市は98年、世界保健機関(WHO)が、大気汚染の深刻な世界10都市のワースト1としている。
 樹氷は、樹木に大陸から強い北西の風が吹きつける時に水滴が凍ってできる。この季節風が、中国で汚染された大気を運んできているとみられる。
 酸性化による具体的な被害はまだ報告されていないが、pH値が4以下が長く続けば生態系などに影響が出るとされる。3未満になれば樹木が枯れるなど、急激な被害が出ると言われている。
 また、春先に酸性雪が大量に解けると、中に含まれていた酸性物質が大量に地中に漏れ出す「アシッドショック」が発生する恐れもある。酸性雨より深刻な影響が懸念されるという。
 柳沢助教授は「海外の大気汚染が、自分たちの町の環境にも影響している現実を知ってほしい」と警鐘を鳴らす。

国境を超える出来事です。
「今、ここ」から「地球全体の未来」を見据える目を養いましょう。

« 虚数 | トップページ | 冬のカマキリ »

崩彦俳歌倉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 樹氷:

« 虚数 | トップページ | 冬のカマキリ »

2021年5月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ