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2010年11月22日 (月)

理科話(1):ヤスデ大発生

アサヒコムにこんな記事がありました。

ヤスデでスリップ、列車とまる JR指宿枕崎線・鹿児島
2010年11月21日21時18分
 21日午前6時50分ごろ、鹿児島県南九州市頴娃町(えいちょう)のJR指宿枕崎線御領(ごりょう)―石垣間で、指宿発枕崎行きの普通列車(1両編成)の車輪が空転するトラブルがあり、1時間16分の遅れが出た。大量発生したヤスデが線路に群がり、踏みつぶした車輪がスリップしたらしい。このトラブルで2本が運休し、3本が遅れ、約200人に影響が出た。
 JR九州によると、トラブルのあった列車の通過後、線路を点検したところ、ヤスデはいなくなっていたという。
 ヤスデはムカデに似た節足動物の一種で体長は数センチ。落ち葉の下など湿った所にすみ、春と秋に異常発生することがある。
 鹿児島県の薩摩半島南部では1999年秋にもヤスデが大量発生し、同市頴娃町の指宿枕崎線で列車の車輪が空転するトラブルが起きている。

この記事を読んで、私はてっきりこのヤスデは「キシャヤスデ」だと思いました。
名前からして「キシャ」を止めてしまう「ヤスデ」なんです。有名な話でしてね。
その内容はまた後でするとして。
毎日新聞のサイトへ移動したら、同じ事件の記事がありました。

ヤスデ:大発生、列車が運休…つぶれて車輪空回り 南九州
 21日午前7時ごろ、鹿児島県南九州市頴娃(えい)町のJR指宿枕崎線御領-石垣駅間で、線路に害虫が異常発生し、指宿発枕崎行き下り普通列車(1両編成)が徐行を余儀なくされた。この列車が1時間16分遅れたのをはじめ、後続の普通列車上下2本が運休、上り2本が最大1時間18分遅れ、計約200人に影響した。
 JR九州によると、異常発生したのは、ヤンバルトサカヤスデ。線路上でつぶされ、油のようになり、車輪が空回りして速度が落ち、ノロノロ運転になったという。列車には乗客約10人が乗っていた。
 鹿児島県などによると、ヤンバルトサカヤスデは台湾原産とされ、体長2.5~3.5センチ。在来種のヤスデ(約2センチ)より大きい。一度に350個もの卵を産み、増殖能力が高い。農作物や人に害を及ぼすことはないが、コンクリートを好み、1平方メートルに数千~数万匹も密集して家屋内に侵入する「不快害虫」。外界の刺激には青酸ガスを含むガスを発生することもある。同県内では91年に徳之島で初めて見つかり、奄美大島や南薩地方での被害が深刻で、県がまん延防止策に力を入れている。【村尾哲】
毎日新聞 2010年11月21日 20時18分(最終更新 11月21日 23時41分)

キシャヤスデではなかったのですね。ヤンバルトサカヤスデだそうです。
鹿児島市のホームページでは対策を呼び掛けていました。
http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/shimin/4kankyoricicle/eisei/0002611.html

私にとっては初耳でした。南から広がってくるのかどうか、聞き耳パターン認識に加えておきましょう。(年のせいですぐ忘れるけど)。

◆キシャヤスデ
農林水産省林野庁森林総合研究所のホームページにキシャヤスデの話が詳しく乗っています。
http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/mori/mori-52.html
部分的に引用します。

キシャヤスデってどんな虫?
   脚のたくさんある細長い虫というとすぐムカデと勘違いして,かみつかれると恐がる人が多いようです。これはとんでもない誤解で,ヤスデはかみついたりしません。さわるとくるっと体を丸めるので,ムカデと区別できます。
   キシャヤスデの体の長さは35mm,脚の数は雄は30対,雌は31対で,ヤスデの中では大きい方です。
汽車を止めたキシャヤスデ
    1976年の秋に,小海線の甲斐小泉―野辺山間でヤスデが大発生しました。この区間は急勾配なため,ひかれたヤスデの体液で車輪がスリップし,動けなくなった列車は6本,運休した列車は12本になりました。10月末の寒さでヤスデがいなくなるまでの約2か月間,ヤスデ駆除のために動員された人は,のべ331人で,人件費と使った殺虫剤や機材,代替バスなどの費用をあわせると430万円にものぼりました。
   ヤスデによる列車妨害は1920年に中央本線贄川―奈良井間と,北陸本線刀根―疋田間で発生したのが最初の記録です。その後,福井県,岐阜県,長野県,山梨県でヤスデによる列車妨害が報告され,また,西は滋賀県から北は栃木県にわたる範囲で,キシャヤスデ類の大発生が観察されています。
八年に一度の集団見合い
    大発生したヤスデについて,野外で観察したり,室内で実験したり,関連資料を整理してみたところ,いろいろなことが分かってきました。
    9月,まだ肌色のキシャヤスデはただゾロゾロと歩き回るだけです。でもきっと,気に入った相手を探しているのでしょう。10月に入り,ヤスデの体が朱色になる頃,落葉の下で交尾しているカップルが目立つようになります。11月,気温が0℃を割るとヤスデは土の中で丸くなって冬を越します。翌年5月,ヤスデは土の中から這い出して,さらにしつこく,相手を変えて何回も交尾し,初夏に千個近い卵を産んで死にます。
    卵からかえった幼虫は7回脱皮して親になるのですが,1年に1回しか脱皮しません。従って7年目,つまり親の世代が大発生してから8年目にようやく成虫になります。キシャヤスデの幼虫は土の中にいますが,成虫になると地表面に出てきます。土の中は見通しが悪いので,結婚相手を探すのが大変だからでしょう。小海線沿線では,このように8年に1回,成虫になったヤスデが集団見合いのために地上を大挙して這い回るのです。
森の中でこんなに役に立ってます
   キシャヤスデの生活の大部分は森の土の中です。ここで,キシャヤスデは体重の何十倍もの落葉を食べ,土に変えます。ヤスデの糞は栄養分に富み,樹の成長に役立ちます。また,土の中を動き回ることによって,土の中の空気や水の通りをよくしています。山梨県の落葉広葉樹林で調査したところ,キシャヤスデが大発生した1980年8月から翌年8月までの1年間に,約3kg/m2もの落葉を食べ尽くしました。これはこの地域で1年間に落ちる葉の10倍に当たります。
   キシャヤスデがあちこち這いまわるのは困りものですが,大発生するのは8年に1度,しかもたった2か月足らずです。この時期を除けば,森の役に立つ大切な虫です。ヤスデの集団見合いの期間だけ少しがまんして,目の敵のように殺したりしないで,暖かく見守ってやって下さい。

ね、最後の一文がいいでしょ。こういう「付き合い方を知る」というのが生物多様性を守っていく第一歩だと私は思うんですね。
不快だからといって殲滅せよ、っというのではいけません。
ヤスデもヒトも同じ生き物同士、少し譲って、付き合っていきましょうよ。

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