秋蚕(あきご)
2010.11.1付 朝日俳壇より
お蚕様(こさま)といはれて秋蚕太りけり:(前橋市)荻原葉月
昔、まだ小学校に上がる前かな。母の買い物についていって、とある薬局、化粧品売り場。
「鶯の糞」なるものにビックリ。
さらに、店員さんが「おかいこさま」といっているのを聞いてビックリ。
何で「様」なのかと母に聞きましたっけね。
母の実家では養蚕もやっていたようで、詳しく知っていました。丹念に丁寧に育てるのだと、聞きました。人の背中の温もりを与えることもあるとか。
そういうものなんだなぁ、とひどく感心したものでした。
「おかいこさま」はそういうわけで知っていたのですが、「おこさま」は知りませんでした。
そういわれれば確かにそう読めるんですけど。なんだか最近の「お子様」みたいで、語感はちょっとなぁ。
しかしあのカイコ、でっかくなるんですよねぇ。
そうなんだ、昔の人はでかい「イモムシ」くらいじゃビックリするわけがないんだよな。カイコを知ってるんだもの。
今の小学校でもカイコの飼育ってやるんですよねぇ。餌が人工飼料で出来るようになったから昔より簡単になったし。
だったら、イモムシ嫌いはもっと少なくていいはずだと思うのは早計かな。
アゲハの仲間や、スズメガなどを飼育していると、蛹になる直前、ウォンダリングといって、ものすごく遠くまで歩いていってしまいます。気をつけないと、ケースから脱走して、室内のどこかに潜りこんで蛹になってしまいます。
カイコにはその「逃走」心がない。徹底的に飼いならされ、「家畜化」された昆虫だからなんですね。
その生態にどこか寂しさを感じてしまう私です。
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