子守歌唄ふ
2010.11.1付 朝日歌壇より
わがこゑも聴こえぬだらうと思へども死にゆく君に子守歌唄ふ:(仙台市)田中勢津
誕生間近の歌の次に、別れ際の歌。
人生の縮図ともいうべきでしょうか。
人との別れの中心は残る側の気持ちだ、ということにお気づきでしょうか。
親しいものとの別れという非日常から、日常への復帰を支えるのが、種々の行事です。
葬儀といい、法事といい、少しずつ、思い出しながら少しずつ希釈していく過程です。
間際の子守歌。あまりの濃厚さに、声も出ません。
その時の歌声が、やがて残る人の思い出となって心を安らげる一つの手掛かりとなることでしょう。
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