陸を見に来る
2010.11.29付 朝日歌壇より
かつて陸(くが)を捨てし鯨がさびしらに陸を見に来る黒潮の岬:(京都市)田畑益弘
馬場あき子評:「陸を見に来る」が面白い。
そういう思い入れは面白いですね、初めてだ。
ただ、進化というものは、意図とか意志とかとは全く無縁に進むものなので、私自身はそういう感慨はもたないですね。
海という生態系的な空間が、哺乳類にとっては「開いて」いた。そこへ適応していっただけのことですから、「捨てた」わけではありません。
生物の持つ色々な可能性が、まだ住む者のない世界へと生存範囲を広げていく、進化とはそういうことです。
陸にしがみつく私たちを、あいつら陸をどうする気かね、と眺めに来たのかもしれませんよ。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント