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2010年11月24日 (水)

理科話(2):ムクロジ

11月18日付けの朝日新聞読者投稿欄「声」に「ムクロジ」の話が載っていました。

[声]無患子の実 友人にもらった(主婦(64))
 「無患子」と書いてムクロジと読むそうです。「わずらいのない子」って書くのよ、すてきね、と私の友人が市制記念公園でその実を拾ってきて分けてくれました。
 5歳の孫娘と子ども図鑑をめくってみると、ムクロジの果皮にはサポニンという成分が含まれていて、実の部分を割って、水に入れて振ると「石鹸水」ができる、といった説明が絵入りで出ていました。早速、孫娘とそれをつくって食器洗いを楽しみ、食器はぴかぴかになりました。
 自然の中には、この年になっても知らないことがたくさんあって面白いです。そんなもろもろに、幼子のように共感できる友人がいることは、うれしいことです。

●私のかかりつけの開業医のところに、患者さんたちから「絵手紙」が寄せられていて、待合室に展示コーナーがあります。
そこに「無患子」という題名の絵がありました。何と読むのかなぁ、と思って見ていて、診察室に呼ばれ、終わって薬の処方を待っていたら、突然医者がドアから顔出して、これ何て読むか知らないか?と聞かれました。私が元理科教師だったことを知っていますので、病気以外の話もよく出ます。
その時は「医者要らず」とでも読むんじゃないですか、調べときます、で別れましたが、調べたらムクロジでした。
そうかぁ、羽根突きの羽を挿してある、あの黒い奴だぁ、と思い至ったのでした。
あれがムクロジだということは小学生の頃に知っていました。
で、ムクロジの実の成分を石鹸水に加えると、しゃぼん玉が安定して丈夫なしゃぼん玉ができる、ということも知っていました。
多分、「子供の科学」とか、「○○年生の学習」とかいう雑誌で仕入れた知識でしょう。

●高校生くらいになって、化学部なんて入っていて、サポニンのことなど、自学自習しました。
多くの植物が「イソプレン」という、炭素原子5個の連なった分子を作ります。その炭素原子のつながりの中に二重結合が2つあります。これをまっすぐ、ずら~~~っとつなぐと、イソプレンゴム、天然ゴムになるんですね。
でも、普通は、イソプレンをユニットにして植物はいろいろな生理活性のある物質を合成するのです。(イソプレンを原料として植物が合成するカロテノイドを抽出してみようと、大量のニンジン刻んで抽出しましたっけ。夏休みをほぼ全部使ったかな、きれいだったぁ。)

イソプレンを2つつないだ「モノテルペン」は、香り成分になるのが多いかな。
サポニンは「トリテルペン」の仲間です。
このトリテルペンの部分は炭素原子と水素原子ばかりで、疎水性なのですが、サポニンはトリテルペンの配糖体といって、更に糖を結合させた分子なのです。糖の分子には-OHという部分がいっぱいあって、これが親水性なのですね。
そこで、サポニンは一つの分子内に、疎水性の部分と親水性の部分と両方を持つことになります。
これは「セッケン」と同じなのです。

セッケンやサポニン、洗剤類は、界面活性剤といいますが、かみくだいて言えば「境い目で働く物質」という意味です。
水と油の境い目で、疎水性部分を油の中に、親水性部分を水の中に入れて働けば、油を水の中に分散させるセッケンになりますね。
疎水性部分を空気中に、親水性部分を水の中に入れて働けば「しゃぼん玉」ができます。
というわけで、ムクロジはセッケンのように使えるのです。
ただし、セッケンでも少量が口に入ったくらいならまだしも、血液中に入ったりしたら有毒です。
同じように、サポニンもその意味で有毒です。
安易に口にしてはいけません。
漢方で使うという話も聞きますが、素人は手を出してはいけません。

●オマケ
http://jsda.org/w/03_shiki/2kurashi_21.htm
日本石鹸洗剤工業会のサイトです。

石けんの渡来
日本では、洗濯に“むくろじ”の果皮や“さいかち”のさや、灰汁などが使われていました。
日本に初めて石けんが入ってきたのは、戦国時代末期。ポルトガル船によってもたらされました。以来石けんは貴重品で、主に下剤などの薬用に用いられ、手にすることのできたのは将軍や大名などの限られた人たちだけでした。庶民は相変わらず、植物や灰汁を使って洗濯したり、小豆や大豆の粉に香料を入れた洗い粉、ヘチマ、ぬか袋、軽石などで身体を洗っていました。

徳川家康への献上品リストだったかな、にも石鹸が献上されたことが載っていたと思います。
{昔の、髪の長~ぁい、お姫様など、どうやって髪を洗ったんでしょうね?大変だったろうなぁ}

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