アルミニウム精錬工場の事故
こんな記事を読まれたと思います。アサヒコムから引用
アルミ工場の有毒汚泥池が決壊、4人死亡 ハンガリー
2010年10月7日0時30分
写真
【ベルリン=松井健】ハンガリーからの報道によると、同国西部のアルミニウム精錬工場で廃液をためる貯水池の堤防が4日に決壊し、重金属や強いアルカリ性の化学物質を含んだ有毒の赤い汚泥が周辺の村に流れ込んだ。AP通信によると、約100万立方メートルの汚泥が流出。6日までに3歳児ら4人が死亡し、6人が不明、約120人がやけどなどのけがをした。同国は現地の三つの郡に非常事態を宣言し、約70キロ離れたドナウ川への流入を警戒している。
真っ赤な汚泥が流出した写真をご覧になったでしょう。
この赤い色は、水酸化鉄(Ⅲ)か酸化鉄(Ⅲ)の赤い色です。錆びの色。あるいはベンガラという顔料の色です。
ボーキサイトというアルミニウムの原料は赤い色をしていますが、これも鉄(Ⅲ)の色。
で、単純にいうと、アルミニウムは水酸化ナトリウムに溶けるけれど、鉄は溶けないという性質を利用して、濃い水酸化ナトリウム水溶液で処理をすると、アルミニウムだけがアルミン酸ナトリウムという形で溶けます。鉄を含む大部分の不純物は沈殿物のほうに残ります。
そこで、ねっとりして沈みにくい沈殿物を時間をかけて沈ませて、上澄みをとってアルミニウム製造の方へまわすんですね。残った沈殿物をどのように処理するのか、詳しいことは知らないのですが、今回の事故は、水酸化鉄を含む強アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液が流出したということでしょう。
これはたまりません。アルカリ性を中和できればいいけれど、塩酸や硫酸などを使うわけにもいかないでしょうし。始末に悪い。
そうこうしているうちに、ドナウ川に到達してしまったようです。
ドナウ川はたくさんの国を流れますので、これからが大変なことになると思います。
ニュース映像で「真っ赤な泥」を見たら、鉄の色なんだ、と見直して下さい。
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