語り部
昨日「ケロイド」という題で木本康雄さんの歌を取り上げました。その文章への追記です。
ケロイドの項(うなじ)は汗をかかざりし被曝の疵も古稀を迎へぬ:(高石市)木本康雄
馬場あき子 評:被曝のケロイドを項にもっている。ケロイドの部分は汗をかかない。たぶん人にもいわず古稀を迎えられたのだろう。辛い歳月であった。
そこで私は、選者の馬場あき子氏に、楯ついたのでした。
その後、私の不完全な歌壇・俳壇データベースを検索してみたところ、いくつかが既にありました。
2010/08/16
エノラゲイ知らざる人と鳩殖えて巡る平和の八・六迎ふ:(高石市)木本康雄
2010/08/16
語り部は被曝胎児や敗戦忌:(高石市)木本康雄
金子兜太 評:原爆の悲惨さを伝えて止まない。選句している今日が六五年目の広島忌。核廃絶を。
2010/08/02
昭和逝く灼くる人間魚雷の碑:(高石市)木本康雄
表現に適した器として短歌・俳句どちらでも自在に使いこなされる方でいらっしゃいます。
これらの歌・句に表現されている「まなざし」に接して、作者はやはり「人にもいわず」ではなく、積極的な語り部であったかどうかは別として、自己を以て戦争の惨禍を語り、平和への希求を語る方であった、あるいは、であろうと、想像します。
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