八千草薫さん
9月9日付の朝日新聞に女優の「八千草薫さんの庭」の話が載っておりました。タイトルは
「多様な命と きずな 草木茂り虫や小動物」
いい予感がしますね。
世田谷区にお住まいだそうですが、約160平方mの自宅のお庭に草木を茂らせているのだそうです。
2階の高さを越えるケヤキ、ヘビイチゴやイヌワラビ、エノコログサも茂り、日陰にはシダやコケ。秋には池をつくる計画だそうです。
「植木屋さんに、そんなに切ったらだめと注文をつけてきたんです。きれいにしたいと思う側からすれば、つまらない仕事かもしれませんね」と八千草さんは笑っておられるとか。(我が意を得たり。)
チョウが舞い、バッタがはねる。地面にはセミが出た穴。
コンクリートに囲まれた水場にいたオタマジャクシを救出して、軒先のかめで飼っていたら、ヒキガエルに成長して去っていったそうな。
「ビオトープが完成したら、近くの子どもたちに遊びにきてもらう機会をつくりたい。好奇心いっぱいな子どもの目で見ると、きっと、もっといろんな発見があるはず」と目を細める八千草さん、素敵ですね。
現在、日本生態系協会の理事をなさっているとか。日本生態系協会で八千草さんのお庭の生態系を調べたら、植物21種、昆虫17種が確認されたそうです。
でもなぁ、そんなもんじゃないと思いますよ。かかしさんの小さな庭でも、そんな数じゃ済まないもの。
「手入れをあまりしない」と虫は絶対に増えます。
次々と新顔が挨拶にやってきますものね。植物だって鳥が糞をするという形で「種蒔き」をしていきますから、さっぱりわからない「双葉」がいっぱい出ますよ~。「草むしり」をしないで、あなたは誰?と成長を見守っていると、面白いですよ、想像を絶することがしばしばある。
自然が失われることで、気がかりなのは子どもへの影響だ、と八千草さんは心配します。
「虫を捕まえたりする中で、子どもって時々残酷なこともしちゃう。でもそんなことを通じて、死ぬことや生きること、命のつながりを学ぶ。身近に土や虫にふれる機会がないと思うと心配になります」
八千草さんご自身は、虫が出てもきゃーきゃー騒ぐ方ではないでしょう。でも、虫がお好きかどうかはわかりません。ただ、こうやってご自分の庭に生態系をつくっていくからには、「つきあいかた」を知っていらっしゃる。
私は大事なのはこの「嫌いなものとの付き合い方」だと思うんですよね。
嫌いだ、という感情に、不潔だとか害虫だとかいう「理屈」をくっつけて「殲滅」しようとする。
自分にとって利・益であるもの、役に立つもの、「優しい」もののみの存在を許して、それ以外を殲滅しようとする排他的で不寛容な意識を消さない限り、生物多様性を守って、生態系を豊かなものに回復させ、ひいては人間自身の絶滅を回避する、ことは不可能なのではないでしょうか。
記事の終わりに。
やちぐさ・かおる 1931年生まれ。山が好きだった夫、映画監督の谷口千吉さんと一緒に、ヒマラヤをはじめ国内外の山に登った。85~93年に環境庁の自然環境保全審議会の委員をつとめ、現在は日本生態系協会理事。
そうだったんですね。知らなかった。
妻と二人でにこにことこの記事を読みました。
八千草さんって、素敵な女性だなぁ。しびれました。
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