言霊
2010.9.12付 朝日俳壇より
言霊と遊びひと夏耐へにけり:(厚木市)田中啓介
大串章 評:万葉集に「磯城島の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸くありこそ」がある。作者も言霊に助けられて今年の猛暑を耐えたのであろう。
私はどうも「言霊に助けられて」、といってもよくその実態が分からないのです。
万葉集を引いたために、かえって「助くる」という言葉の存在によりかかってしまったように見受けます。
言霊があったから暑さに耐えられた、という助けられ方と、万葉の「助く」とは違うような気がしますが。
作者は「言霊と遊び」と言っておられます。
つまり、暑い中ではあるけれど、俳句の材料をさがし、それをどのように言葉にのせるかを工夫し、気に入った表現になるように苦労した。その過程を「言霊と遊」んだと表現なさったのではないかと想像します。
そうやって、言葉と一緒に、暑い夏を対象化し、切り、分け、表現を探していたら、なんとかこの暑さも乗り切れたよ、というのではないかなぁ。
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