華氏
2010.9.20付 朝日歌壇より
おおまかに華氏に換算し直して今日の暑さを再認識す:(舞鶴市)吉富憲治
永田和宏 評:渡米生活の長かった作者。百度を超えたかなどと華氏に換算すれば、この猛暑はいっそう身体に堪える。
評にあるように、作者はアメリカ在住が長く、アメリカから朝日歌壇に投稿をなさっていたと記憶します。
アメリカでは、ヤード・ポンド法が生きていて、温度は華氏が使われています。
私は子どものころ尺貫法からメートル法への切り替えを経験した世代です。いろいろ抵抗もありました。永六輔氏は有名です。
母親も裁縫には鯨尺を使っていました。銭湯の体重計は貫の目盛りで「百貫・・・」などという囃し言葉もありました。肉は匁で買っていました。升、合なども当たり前でした。
でも温度は摂氏でしたね。
日本人はそういう変わり身ははやいようですね。
化学の授業で温度を扱うことがあります。その時に、摂氏と華氏について話をして、換算法なども教えます。
そして、アメリカへ留学して天気予報で「今日は百度でしょう」といわれてもびっくりするなよ、などと話すわけです。
これが換算式。Fは華氏温度、Cは摂氏温度の意味です。
上の式をグラフ化するとこうなります↓
横軸は摂氏温度、縦軸は華氏温度です。
華氏の100のところを右へ辿っていきますと約38℃くらいですかね。
ということは、猛暑日には、華氏100度ということになるわけですね。
計算すると37.8℃で華氏100度になります。
★今年は、華氏100度の日が頻出したということになります。
すごいですねぇ。
カ‐し【カ氏】
(創始者のドイツの物理学者ファーレンハイト(Gabriel Daniel Fahrenheit1686~1736)の名に中国で華倫海の字を当てたことから) カ氏温度の略。華氏。
セ‐し【セ氏】
セ氏温度の略。創始者セルシウスの名に中国で摂爾修斯の字をあてたことから、摂氏セツシとして使われてきたが、現在はセ氏が常用される。
[広辞苑第五版]
日本人の省略好き。セ・リーグとパ・リーグみたいなものですね。あるいはコピペとか。
セルシウス【Anders Celsius】スウェーデンの物理学者・天文学者。水の氷点と沸点を定点とした温度目盛を提唱。(1701~1744)[広辞苑第五版]
最初はね、セルシウスさんは水の氷点を「100」、沸点を「0」にしたのだったと思います。
向きを反転させたのは、分類学で有名なリンネじゃなかったかなぁ。確認していない記憶です。
今、摂氏温度を「℃」で表示しますが、この「C」はセルシウスの「C」と日本では普通は受け取られていますが、英語圏では「centigrade」=「100分目盛り」の略ということになっていると思いますよ。
◆先程、新記録が出ました!
アサヒ・コムから。
中秋も30度超 東京都心の真夏日、観測史上最多71日(2010年9月22日10時15分)
日本列島は22日、南からの暖かい風が流れ込み、東日本から西日本にかけては厳しい残暑となった。東京都心では午前9時17分、気温が30度に達した。これで今年、都心で最高気温が30度以上となる真夏日は71日となり、1876年の観測開始以来、最多となった。
気象庁によると、これまでの最多記録は2004年の70日だった。東京都心は今年、最高気温が35度以上の猛暑日も13日観測され、観測史上最多タイ記録となっている。
ただし、秋分の日の23日にかけて前線が列島を南下し、各地に雨をもたらす。梅雨明けから続いた厳しい暑さは終わり、秋の空気に入れ替わる見込みだ。
たまらない暑さですが、「新記録」と聞くとなんだか嬉しいような気がしますね。変な心理。
(病院の待合室での会話が、病気の重さ比べ、になるのと似てますか?)
◆厳密な話を最後に。
ITS-90という国際温度目盛り(1990年)が現在の基準です。
この温度目盛では、水という物質の「三重点」(固体・液体・気体が共存する温度と考えて下さい、詳しくは省略)を絶対温度273.16Kと定義しています。
この定義によれば、水の沸点は約99.974℃となっています。
氷点は-0.01℃となります。
日常生活に影響が出るような話ではありません。
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