句点
2010.9.27付 朝日歌壇より
たらちねの明治の母は子を案ずともしびのやうな句点の大きさ:(北海道)坂本しづよ
永田和宏評:誰の母親かはわからないが、子を案じる明治の母親の控えめな心情が、ともしびのような句点に偲ばれる。
一番基本的には作者の母上ではないのかなぁ。
間違っていたら申し訳ないのですが、明治・大正の女性は筆まめとは言い難い方も多かったのではないでしょうか。
書き慣れぬ手紙の文字は、あまり読みやすいというものではない。ただ、句点だけは、他の文字から離れてくっきりと「ろうそくの炎」のような姿をしている。
「控えめな心情」という風には私は読んでいません。
真剣に、でも、たどたどしい筆跡の中の際立つ句点の姿に、使いなれぬ筆で一生懸命に心を伝えようとした、気持ちの強さが迫ってくる感じがします。
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