33度
2010.9.12付 朝日歌壇より
33度十日も続けばそれなりに適応し出す進化のきざし:(宮城県)白鳥光代
佐佐木幸綱 評:来年、再来年の夏はもっと暑いのだろう、という意味と読んだ。
進化というのは実は「生きもの個体」に対して使う概念ではないのですね。
イチローが進化した、とかいうのは間違い。
生物の遺伝的な性質が世代を経ていく中で変化していくことです。
優れたものになるとか、強くなるとかそういう価値的な概念は全く含んでいません。
あえて言えば、現在地球上に生きている全ての生物はそれぞれ「進化の頂点」に立っています。人間は優れている、進化の頂点に立つ、などというのはまるっきりの誤解ですので、念の為。
「個体が適応する」という言葉は適切です。
私は選者のように、来年・再来年も、という風には受け取りませんでした。
「暑さ慣れ」ということは昔からいうことで、この暑さ、たまらないし、つらいけど、それでも続いているうちに体というのも大したもので、だんだん慣れて来る。そのうち、30℃じゃ寒いなんて言い出すかもね、という、おおらかな笑いまで含んでいるような気がしました。
◆顔見知りの年長の方に伺ったお話し。
インドネシアに4年ほど勤務されたとか。
とにかく年がら年中、暑い。地元の方はそれでも汗をあまりかかない。
自分も赴任して間もなくは大量に汗をかいたが、慣れてくると、汗の量は減っていった、というのですね。
日本から出張で来る人はみんな大汗をかく。
人間の発汗というものは、住む土地の気候に合わせて違うものなんですね。
生物の適応能力ってすごいものです。
人間も適応します。
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