生物多様性
9月26日付の朝日新聞の読書案内の欄に、池田清彦氏(早稲田大学教授・生物学)が本を紹介していました。
見えないものが支配する:池田清彦
「人類にとって重要な生きもの ミミズの話」(エイミィ・ステュワート、飛鳥新社)
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私たちは見えるものにしか興味を示さないが、見える生物多様性は見えない生物ネットワークに支配されているのだ。本書ではまた、農薬の使用がミミズを殺し、土壌生態系に甚大な影響を及ぼしていることも指摘されている。日本でも最近、虫の数が激減しているが、土壌生態系の変化と関係があるに違いないと思う。
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「フンころがしの生物多様性」(塚本珪一、青土社)
人々が忌み嫌うフンをすみかとするフン虫たちも、また立派な生物多様性の担い手であることを宣言した本。日本には約160種のフン虫が生息するが、人々の清潔志向のせいで多くは絶滅危惧種になっている。フン虫もすめない生物多様性では仕方がないと著者は言う。私も同感だ。
池田さんは養老さんなどと並んで昆虫好きで知られる方です。
目に見えて「かわいい」ものだけを許容し、不気味なもの、嫌いなものなどを一切受け付けないような精神ではとても生物多様性に貢献できないでしょうね。
汚いもの、目に見えないもの、嫌いなものなどとの「折り合いを付ける」ということが大事でしょう。
超清潔好きは非寛容になります。私たちだって生きもの。そうそう清潔ばかりじゃ生きられない。不潔を好むこともないけれど、不潔なものとの付き合い方ってものがあるでしょう。
そういう懐の深さというのかな、が失われていますね。
「フン虫もすめない生物多様性では仕方がないと著者は言う。私も同感だ。」
かかしも同感だ。
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