父子男旅
今年の7月ごろから、朝日新聞では1面の左下のあたりに、ときどき「父子男旅」という小さな広告が載ります。9月10日に第8回というのが載っていました。
これが下らない。イメージ?ラベル?レッテル?そういう表面に張り付けたものだけで語る。中味がなんにもない。
これほど無内容な文を見せつけられるのは、噴飯もの、いや苦痛ですね。
強く逞しい父親が、息子を強い男に育てる、という”イメージ”を描いています。
それは裏返せば、「女性は良妻賢母であるべきだ」、という差別・偏見と表裏一体のものですね。
あんまり下らないので、これはくだらない、っということを一声だけ挙げておきます。
第1回(2010/07/08)
かわいい子には男旅させよ。日本は広い。高速道を1時間、一般道を30分も行けば、たいていは未知の景色に出会う。「目的地はどこでもいい、目的さえあれば」。男旅の醍醐味は世界を広げること。ひたすら田園を走り案山子に遭うでも、海岸沿いを行き釣り人に「何がつれますか」と一言かけるでも、子にとって初めてならば立派な経験。思いもよらぬ体験は思いもよらぬ土地にある。走り出すこと。道の先に広がる未知は成長の友。父と子は男旅しよう。
別に父と娘だって同じでしょ。母と息子、母と娘、親と子、どんな組み合わせでもかまわない話ですね、この内容。
女の子は世界が狭くていいんですか?
思いもよらぬ体験は、思いもよらぬ土地に行かねばできないほど、貧弱な感性なんですね。
今、ここ、で思いもよらぬ体験をすることも出来ぬ貧しい感性の持ち主が、知らぬ土地に行ったって、何にも感じとることはないでしょう。
私、子どものころ、ご近所のおじいさんの家に入り浸って、金魚を飼う、生きものを飼うということの基本を学びましたよ。初めての経験は遠くでしかできませんか?
「目的さえあれば」って、どんな目的を持っているんですか?何にも明らかにされていない。言葉のイメージだけ。
走るな!
先ずは、今立っているところを踏みしめろ。
そして歩き出せ。失敗を重ねろ。
人間としての成長に必要なことに、男も女も差はないはずですよね。
第8回(2010/09/10)
いつもは後部座席で熟睡する子が、寝てたまるかと助手席でまぶたに力を込めている。男なんだななあと思う。{意地を張ってるな}。隣り合わせの旅。ともに道をすすむ旅。男旅には、クルマでいく旅のよさがある。「同じ方向を向いて、向き合うこと」。道中の父は、父であり男であり時に兄であり仲間である。ともに歩み、止まり、走り、気持ちは向かい合う。学校のことでも、友のことでも、恋のことでも。家で面と向かって話すのとは少し違った間合いが◎。さあ男旅しよう。
↓下はパロディです。何か不都合ありますか?
いつもは後部座席で熟睡する子が、寝てたまるかと助手席でまぶたに力を込めている。女なんだななあと思う。{優しい子ね}。隣り合わせの旅。ともに道をすすむ旅。女旅には、クルマでいく旅のよさがある。「同じ方向を向いて、向き合うこと」。道中の母は、母であり女であり時に姉であり仲間である。ともに歩み、止まり、走り、気持ちは向かい合う。学校のことでも、友のことでも、恋のことでも。家で面と向かって話すのとは少し違った間合いが◎。さあ女旅しよう。
性別抜きにして、親子、に置き換えてみてください。何か不都合ありますか?
どうせ粋がるんだったらさぁ、助手席には妻(夫)しか乗せない、てな粋がりの方がかっこいいですよ。
父さん(母さん)の助手席に座るのは母さん(父さん)だけ。
君たちはいずれ大人になって私たち親のもとを去っていく人。
父さんは母さんと二人で、自分たちの人生を行くからね。君たちは君たちの人生を行きなさい。
とねぇ。ずっとかっこいいと思うけどなぁ。
人生を、運転しナビゲートしあうのが夫婦というものでしょ。
互いに相手のドライバーであり、ナビゲーターである。それが配偶者というものではないですか。
親は子の人生のドライバーでもナビゲーターでもあり得ない。
子の人生に初速をつけてやるのはいいとして、子の人生は子が自分でつくるもの。
君たちは自分自身の大事なドライバー・ナビゲーターを自分で探せ、それが人生の「旅」というものだ。
ですね。
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