気温と湿度
今年の夏、日々の気温や湿度の記録をつくっていて、ふと発見したことがあります。
下のグラフを見ながらお話しします。
グラフは今年の6月から9月初めまでの最高気温と、午後3時の湿度の2本のグラフです。
赤い線は最高気温(を均した曲線)で、右軸の値を「℃」で読んでください。
黒い線は午後3時の湿度(を均した曲線)で、左軸の値を「%」で読んでください。
最高気温が出た時刻は特定できませんが、普通の晴天の日であれば午後2時とか3時とかでしょう。
ですから、湿度が記録された時刻と、ほぼ同じころの気温だと考えて大きな間違いはないと思います。
さて、グラフの中に1~5までの数字を書き込んでおきましたが、この数字のあたりを見て何かお気づきではないでしょうか。
●気温が低いと湿度が高い、気温が高いと湿度が低い、という傾向が読み取れると思うのですが、いかがでしょう?
今年の天気を眺めていますと、東京では梅雨明け以降8月上旬くらいまで、どっしりと高気圧が居座ってしまって大きな動きがなく、私たちの頭上の空気の性質はそう大きく変化しなかったように思うのです。
ということは、大気中の水蒸気の絶対量(絶対湿度)がそう変わっていない。
ところが気温が上がれば空気中に含みうる水蒸気の最大限度量が増えます。
私たちが普通に「湿度」といっているのは「相対湿度」で、単純に言うと、空気中に含みうる水蒸気の最大限度量に対する、実際に今ある空気中に含まれている水蒸気量を百分率(%)で示したものです。
((今ある空気中に含まれている水蒸気量)/(空気中に含みうる水蒸気の最大限度量))×100
ですね。
さて、私たちを取り巻く空気がどかっと居座って、その性質が1カ月くらい大きく変化しませんでした。
ということは、その中にある水蒸気量は大きく変動しなかったのではないか。
ところが、日々気温は変化します。気温が上がれば「空気中に含みうる水蒸気の最大限度量」が大きくなりますから、相対湿度は下がる。逆に、気温が下がれば「空気中に含みうる水蒸気の最大限度量」は小さくなって、相対湿度が上がる、というような出来事が起こったのではないかと思うのです。
それをグラフで可視化出来たのではないか、というのが今回提示したグラフです。
◆今日、9月23日、秋分の日、東京では強い雨が降っています。
北の空気と南の空気の境い目の「秋雨前線」が南下してきたせいです。
このあと、東京の気温はぐんと下がるでしょう。でも、それは空気の性質自体の変化ですから、上に述べたようなことは当てはまりません。
長期にわたって、一定の性質の空気が居座った時にだけ可能な議論をしました。
台風が来る、前線が通る、といった空気の性質が変化していく時には成立しない議論ですからご注意ください。
でも、毎日記録をグラフ化しながら、なんだか、規則性があるようだなぁ、と気付いたのは楽しいことでした。
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