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2010年9月29日 (水)

蓑虫

2010.9.27付 朝日俳壇より
蓑虫の糸一本もてひきこもる:(さいたま市)斉藤正美
 長谷川櫂評:「糸一本にたてこもる」ならもっとよかった。「ひきこもる」も「たてこもる」も同じようなものだが、気概に違いあり。

そう、「気概に違い」があります。だからこそ、詩人が「たてこもる」ではなく「ひきこもる」を選んだ場合、その選ばれた言葉に即した鑑賞を行うべきです。その意味の差は何か。一青窈さんの歌などもありますし、現代の「ひきこもり」には、「たてこもり」とは全く違う意味が発生している。そのくらい読みこんで下さいな。「『たてこもり』ならもっとよかった」なんて、ちょっといただけません。

たて‐こも・る【立て籠る・楯籠る】
 自五 
(古くはタテゴモル)
①戸などをしめきって、室内にこもる。平家物語3「ふすぼつたる持仏堂に―・り」
②城や要害にこもって防ぎ守る。籠城する。保元物語「謀叛をおこし、近江国甲賀山に―・り候ひしを」

ひき‐こも・る【引き籠る】
 自五 
退いて内にこもる。外に出ないで閉じこもる。ひっこもる。「家に―・る」

選者は「たてこもる」を②の意味で理解しているわけですよね。おそらく。
言葉のはらむ可能性についてもう少し深く論議してほしいな。

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