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2010年9月17日 (金)

本は力持ち

◆ことのついでに、もうひとつ。

実験15「本は力持ち」:物と物が触れ合うと摩擦力が生じる。2冊の本を1ページずつ重ね合わせ、生じた摩擦の力で、どのくらい重いものを吊るすことができるのか、実験で検証する。
初回放送:2010年09月08日

これは実験自体は面白くて摩擦の力ってすごいな、と思わせてくれるのでまあいいんですが。

◆本のページを重ねる枚数を、初め例えば10枚ずつ。その時、引っ張り強度試験機のようなもので引っ張って、引き離すのに必要な力をちゃんと測る。
重ねる枚数が20枚ずつになったらどうなんだ、30枚ずつ、40枚ずつなら・・・
と実験して、グラフ化してみる必要があったと思うのですよ。

比例関係にはならないはずです。

重なり合いが2倍、3倍となるときに、引き離す力は2倍、3倍とはならない。
おそらく、指数関数的になる。
世の中の出来事には、比例じゃないものがあるんだね、ということを教えたっていい。
自分でそういう関係を取り扱えるようになるのは先のこととして、出来事としてはそういうタイプのものもあるのですから。知っていていい。

西部劇で、馬を繋ぐ時に手綱を柵の横木に3,4回巻いて、ちょっと結ぶと、馬の力ではほどけなくなる。あれも摩擦が指数関数的に増えるからです。2倍、3倍になるんじゃなくって、おそらく2乗3乗といった増え方をするのです。

そんな出来事があることを示した上で、じゃあ、体重120kgの力士を吊るすにはおおよそ何枚ぐらい重ね合わせたらいいか、と予測したらいい。

番組では重ね合わせる枚数については天下りなのですよ。
力士をぶらさげるシーンは確かにハラハラしますけれど、耐えられるはずだ、そう予測したんだから多分大丈夫だ、どうだ、うまくいくか、というハラハラをさせたい。
ただ、「紙の摩擦で力士をぶら下げることができた」すごいなぁ、ではその時だけしか印象が残りませんよね。

仮説実験授業というものを全面的に支持する私ではないのですが、うまく導いていくことで、「発見的=heuristic」な実験に組み立てていくことができるのです。
根拠もない予想・仮説を出して、当たった外れた、では heuristic にはならない。
そこは間違えないようにしないと、教育的ではない。でないと、手品を見て楽しむのと同じになってしまう。それは科学にとってはむしろマイナスだと考えます。
上手に導くべきです。
当たることも外れることもどちらも同じように重要だというように導きたい。
私の授業づくりはそんなことを気にしていましたね。

せっかく物理教育の専門家集団ガリレオ工房さんが関わっているのだから、ぜひとも、がっばってくださ~~~い。

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